2023年10月19日アフガニスタン発
「大きな音がしたので、最初は爆発かと思いました。直後に家が崩れて、私と子どもたちの上に落ちてきたのです」とアシファさん(21歳)は地震当日を思い返します。
今月7日以降、アフガニスタン西部では、マグニチュード6以上の大きな地震が複数回発生しています。被災地域では、家屋の倒壊が相次ぎ、学校や水道などの公共施設・インフラにも甚大な被害が出ています。
地震で失われた幼い命
地震が起きた時、アシファさんはジンダジャン県の自宅にいました。激しい揺れで家々が崩れた後、がれきの下から子どもたちや親戚、隣人の叫び声が聞こえました。
アシファさんは、がれきの下敷きになった子どもたちを必死に救出しようとしましたが、2歳の娘は助かり、生後9カ月のもうひとりの娘は亡くなってしまいました。
わずか21歳で、アシファさんは想像も絶する惨状を目の当たりにすることになったのです。ショックを引きずったまま、アシファさんは現在、娘のアスラちゃんと共にヘラート市内でユニセフが支援する一時避難所に滞在しています。
「ここには食料も毛布も水もあります。でも、この先どうなるのかわかりません。私の村は地震で壊滅してしまいました。私たちはどこへ行けばいいのでしょう?」
未来に不安を感じながら
アシファさんと同じ村で暮らすビビ・グル(20歳)さんは、妊娠8カ月です。どこで出産するのかわからず、不安でたまりません。
地震で自宅が倒壊したため、ビビ・グルさんはヘラート市内の一時避難所に移りました。ユニセフが支援しているこの施設では、心理カウンセラーがビビ・グルさんやアシファさんを含む女性や子どもたちを支援しており、地震による悲惨な体験やトラウマに対処できるよう、グループもしくは個人セッションを開いています。
ビビ・グルさんは、状況が落ち着くまで、しばらくこの避難所に留まると言います。
行方不明者を探す救助活動
ヘラート市から約40キロ離れたジンダジャン県の村々で、男性たちはがれきの下から行方不明者を捜索しようとしています。彼らはシャベルやくわを使って、時には素手で作業をします。
数時間おきに、静かで厳粛な葬列があり、隣人や友人の遺体が、布にていねいに覆われた状態で、運ばれていきます。また一人、愛する人が失われたのです。
以前は住居が建っていた場所が、今はがれきの山になっています。ある村では学校が倒壊しました。診療所の建物はかろうじて残ったもののひどく損壊しています。少なくとも安全な水が使えるように、水道設備は修繕する必要があります。
ユニセフの支援
今回の地震がもたらしている被害は、アフガニスタンの子どもたちが長年の間に経験した中でも、極めて深刻です。
被災した子どもたちと家族の切実なニーズに応えるため、ユニセフは、防寒着や毛布、防水シートなどの支援物資の輸送のほか、安全な水の提供、トイレの設置、心のケア支援などの活動を展開しています。
「子どもたちは、トラウマを乗り越えるための心理社会的サポートを必要としています」と、ヘラートにあるユニセフの現地事務のチーフ、シディグ・イブラヒムは話します。「子どもたちが学校に戻れるようにすることも、長期的な復興には不可欠です。
ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。アフガニスタンで発生した地震の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。