


性的搾取の被害を受けた子どもたちはみな、身体的な苦痛やトラウマに悩まされ、情緒不安、うつ、怒りなどさまざまな症状を訴えます。また、罪の意識に苛まれて自分を責め、自傷行為に走ることもあります。
しかし、サイバースペースで性的搾取の被害を受けた子どもたちは、さらに別の苦しみに耐えなければなりません。子どもたちは、屈辱的な虐待画像の存在自体が、彼らが受けた恐ろしい暴力行為の真相をあいまいにしてしまうことを危惧しています。子どもたちは、カメラの前では微笑むように強制されるため、まるで彼らが共謀して子どもポルノを製作したように見えてしまうことを恐れています。そして、誰にも自分たちの苦痛をわかってもらえないのではないかと思い込み、実際に虐待画像が存在しているのも関わらず、虐待行為があったことを否定します。また、事実を受け入れることができず、すべてを否定しようとして真実を打ち明けることを拒否する子どもたちもいます。これは、子どもたちの心に計り知れないほど大きな負担となってのしかかります。
さらに虐待画像は、一旦サイバースペースに流出してしまうと、何度もコピーされ、全世界の人に繰り返し見られる可能性があり、そのたびに被害者は「虐待」を受け続けることになります。子どもたちは、搾取を受けた瞬間からずっとおびえて暮らさなければならず、就職、結婚や出産といった将来の希望さえ奪われてしまいます。
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子どもたちが子どもポルノ犯罪に巻き込まれる要因はさまざまです。
たとえば直接的な加害者として、買春のあっせん者や小児性愛者(ペドファイル)、観光客などが挙げられます。
しかし、実際は特定の加害者だけではなく、社会的要因や状況(貧困等)が子どもたちを子どもポルノ犯罪に 追いこんでいるのです。 |
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これらは一見すると別問題のようですが、実は複雑に絡み合っています。
この「クモの巣モデル」は、文字通りクモの巣を模写し、それぞれ子どもポルノ犯罪にかかわる個人・集団・状況を示しています。 これらの加害要因が相互に関わりあうことによって、子どもたちは巣の奥深くに捉えられ、脱出できないでいるのです。
しかし、外部からの助けがあれば、子どもはクモの巣から逃れることができます。 たとえば子どもの行動の変化に気づいたおとなが、虐待の事実を通報することで、加害者を捕まえ、子どもたちを救う事ができるのです。 |
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子どもポルノの被害は、そのほとんどが家族や親戚などの身近な関係にある人からの性的搾取によって起こっています。この場合、警察の犯罪捜査で見つけることは難しく、近隣住民の通報やソーシャルワーカーなどのカウンセリングで被害が明るみになることがあります。
また、家庭以外でも多くの子どもたちが子どもポルノの被害にあっています。ストリート・チルドレンと呼ばれる一日のほとんどを路上ですごす子どもたちや、子ども買春や人身売買の被害にあった子どもたちが子どもポルノに巻き込まれる可能性はとくに高くなっています。また児童養護施設からも連れてこられるケースもあります。

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