(財)日本ユニセフ協会

パプアニューギニアのお母さん コニオ・ナオさんのお話

子どもにふさわしい家庭!

コニオ・ナオさんはまだ18歳。妊娠したとき、まだ学校の10年生でした。子どもの父親は同じ学生でした。コニオさんは、「彼は子どものことは何もしたくなかった」と話します。初め、コニオさんは、誰にも、自分の家族にも、妊娠のことを知られたくありませんでした。しかし、妊娠6ヶ月に入った頃、コニオさんは勇気を奮い起こして、妊娠中の診察を受けました。

赤ちゃんペリーナちゃんは、たった1.6kgで生まれてきました。深刻な低体重の赤ちゃんだったため、病気になる危険が高く、いつも赤ちゃんのようすに気をつけていなければなりません。

毎年、パプアニューギニアでは、13,000人の子どもが5歳になる前に亡くなっています。1日に35人の割合です。そのうち約8,000人は1歳の誕生日すら迎えられません。死因は、低体重出生、マラリア、栄養不良、下痢、肺炎、はしかなどです。将来的には、現在おとなの人口の1〜3%が感染しているHIV/エイズの広がりが、さらに深刻な影響を与えるだろうと予測されています。

予防接種率が低いパプアニューギニアでは、2003年に1000人以上の子どもがはしかで亡くなりました。コニオさんも、すぐに1歳のペリーナちゃんに予防接種を受けさせなければならないということをよく分かっていませんでした。でも、コニオさんは、カウンセリングやその他のサポートを受けることができたために、今ではペリーナちゃんはすべての予防接種をすませています。ぷくぷくと健康そうなペリーナちゃんは、海の上に突き出した木造の家で、昔ながらのハンモックの中で揺られながら、気持ちよさそうにしています。

コニオさんはまだ母乳育児を続けています。ペリーナちゃんにどのような離乳食を、どのようにあげ始めたらよいかについても学びました。

ユニセフの栄養担当官フローレンス・アッドさんは、こう話します。「ここでは、母乳育児のよい伝統があるのですが、母乳だけで、というわけではなかったのです。私たちは、お母さんたちに、生後半年間は母乳以外のものをあげないように、と伝えています」

課題は離乳食です。赤ちゃんにとって“正しい”食べ物が与えられていないのです。「今、都会に住む人たちにも、家庭菜園をすすめてるんです。少なくとも緑のものやかぼちゃが育てられるように。かぼちゃをつぶしたようなものは、栄養たっぷりで離乳食には最適ですから」とアッドさんは付け加えました。

コニオさんは、子どもの世話についてのことを、“子どもにふさわしい家庭”と名づけられたプログラムを通して学びました。このプログラムはパプアニューギニアの計画・農村開発省とユニセフが協力して開発したものです。プログラムの目的は、“すべての家庭を子どもたちが育つのにふさわしいものにすること”。

何度かのテストや試行錯誤を繰り返した後、ユニセフとその協力団体は、コミュニティとともに活動し、子どもの最良の人生のスタートを守るために必要なことをまとめました。目標は、こうした知識を広く国中の家庭に行き渡らせ、それを実践してもらうことです。この中には、子どもを産む予定のある女性たちに妊娠中の診察を受けるように促したり、きちんとした設備のある保健施設で出産することの重要性を伝えたりすることも含まれています。

「ペリーナが大きくなったら、学校に通って、友だちとの付き合い方も学ばなけらばならないってことも、家族みんなが知っていますよ」とコリーナさんのお母さん、ジュア・ナオさんは話します。ジュア・ナオさんも“子どもにふさわしい家庭”プログラムに参加しています。

コニオさんは、ペリーナちゃんのハンモックを揺らしながら、力強く話します。「ちゃんと子どもの世話をしたいと思っています。それに、仕事を見つけて、また、自分の勉強にも戻りたいです。」

(2004年10月18日 パリ村・パプアニューギニア)

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