はじめに
遺言執行者は、遺言書の内容にしたがい、故人の意思を実現する役目を担います。
一般的に、被相続人(遺言者)のご逝去により相続が開始されます。遺言書がなければ、法定相続分にしたがい遺産分割の協議が行われます。遺言書があれば、遺言内容にしたがい財産が受け継がれます。この財産の引き渡しを行うのが、遺言執行者です。遺言執行者は、多くの場合、遺言書のなかで指定されます。なお、遺言執行者となる方が見つからず遺言書に指定がない場合、利害関係者が家庭裁判所に申し立てをすることで、遺言執行者を選任できます。
遺言執行者とは
1.遺言執行者になれる人
遺言者が亡くなった時に未成年者(満20歳以下)や破産者でなければ、遺言執行者になることができます(民法1009条)。
遺言執行者には個人に限らず法人も指定することができます。また、法定相続人や受遺者といった利害関係者も含まれます。しかし、遺言執行の手続きには、相応の時間と手間、専門的な知識を要する場合もあるため、専門家に依頼されることが多いようです。
専門家
法律の専門家である弁護士(弁護士法人を含みます)は、費用は比較的高くなりますが、遺言書の作成、遺言執行者の就任を通じてさまざまな法律の相談ができ、複雑な法的実務が発生したとしても安心して任せることができます。
遺産に不動産が含まれている場合は、弁護士のほか、登記の専門家である司法書士(司法書士法人も含みます)に依頼される方もいます。遺言者が、たとえば日頃からご相談されている専門家(行政書士や税理士など)がいれば、その方に依頼されるといったこともあります。
信託銀行
信託銀行で取り扱っている遺言信託は、遺言書の作成から保管、執行までをトータルでサポートしています。このサービスは、普段から財産の管理を依頼しているなど信託銀行との関係がある方が選ばれる場合が多いようです。
2.遺言執行者の役割
遺言執行の手続きにたとえ複雑な事項がなかったとしても、財産の確認や整理、相続人や受遺者への連絡、財産の引き渡しの手続き等、遺言執行には相応の時間と手間を要します。また、不動産の遺贈では不動産登記などの専門的な知識を要する場合もあります。
こうした観点から、遺贈をお考えの方には遺言執行者の指定をおすすめしております。
仕事内容
遺言執行は、以下のような流れになります。
相続が開始されると…
執行報酬と費用
遺言執行の費用は、相続財産から負担することが民法に定められています(民法1021条)。
具体的には、遺言執行者の報酬のほか、各種手続き(自筆証書遺言の検認、相続財産の目録、預貯金解約など)の費用となります。こうした費用が、相続の際に財産から控除され各個人・法人に分配されます。
遺言執行者の報酬については、おおよその相場はありますが、各士業の方、各金融機関により異なりますのでご確認ください。また、遺言書に報酬額を明記することをおすすめしますが、記されていなければ、遺言執行後に遺言執行者は家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が遺言執行者の状況や執行の際の労力などを考慮し報酬額を決めることがあります。
更新日:2020年12月25日