(財)日本ユニセフ協会  







◆ 音のない戦争… HIV/エイズとの闘い ◆


エイズ薬 ジンバブエ HIV/エイズはかつて、同性愛者や麻薬常用者に特別な病気と考えられていました。しかし、今やこの病気は世界のすべての地域に広まり、年齢、性別、裕福か貧しいか、どこに住んでいるか等に関わりなく、だれでもがこの病気にかかる危険に直面しています。エイズは世界で、4番目に多くの死者を出しているのです。

 HIV/エイズが拡大した主な理由には、「貧困」があります。貧困のために、学校に行ったり、教育を受けたりできず、HIV/エイズについての知識を得るチャンスがなかったことは致命的です。多くの地域で、住民がエイズがどのような病気でどのようにうつるかをはっきりとは知らないうちに、あるいは、エイズは特別な病気として差別されるためにそれをひた隠しにしていくうちに、どんどん感染が広まっていきました。HIV/エイズに対する取り組みでは、知識こそワクチンといわれますが、まさに知識、つまりワクチンがなかったために広まったといえます。

 また、貧しさゆえに、多くの男性が出稼ぎにのためやむなく家族のもとを離れています。そして、町の生活でHIVに感染することが多くなります。感染を知らずに村にもどって妻にうつし、妻から今度は子どもに感染し、HIV感染がコミュニティ全体に広まるという悲劇もよく起こっています。

 貧しさは、多くの女性たちを性的搾取の犠牲にもしています。こうした女性たちは、HIVに感染する危険性がとても高いといわれます。たとえば、コンドームを使うといった予防法を知っていても、女性の立場が弱い社会では、女性からパートナーにコンドームを使うようにお願いすることは難しいといいます。貧しい生活から家を出たストリートチルドレンたちも、麻薬や性的搾取などによって、HIV感染率が非常に高くなっています

 貧しい地域ゆえに、保健サービスや医療が十分ではなく、HIV感染の検査をすることも、発病の時期を引き延ばすことも、発病後のケアを受けることもできないというような背景もこの病気の拡大を助長しています。

 開発途上国で起こっているこの悲劇は、感染の危険を知るチャンスがなかったこと、予防するチャンスがなかったことから起こっています。彼らが貧しく、教育を受けるチャンスも、HIVの感染を防ぐチャンスも得られなかった原因は、彼らにだけあるものではないでしょう。



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