夫を亡くして以来ひとりで子どもたちを育てている母親のグミニ・アイラさん(30歳)は、ソレさんが授業を受けられていることを喜んでいます。「カヤに到着したとき、将来のためにソレを学校に行かせなければと思いました。ありがたいことに、ソレはいつもいい成績を取っています」
ブルキナファソ中北部地方の中心都市、カヤで暮らすソレ・ハビボウさん(7歳)。2年前に父親を亡くし、カヤから40キロほど離れた故郷のタンペルガ村から、安全を求めて母親ときょうだい3人とともに逃げてきた国内避難民です。ブルキナファソでは、隣国ニジェール、マリと国境を接する地域で治安が改善せず、2024年12月時点で、国内の学校の20%にあたる5,319校が休校していました。
ユニセフは、ソレさんのような何千人もの国内避難民の子どもたちが再び授業を受けられるよう、支援を行っています。教育省の協力のもと、中北部地方バム県、ナメンテンガ県、サンマテンガ県の50カ所に仮設学習スペースを建設し、多くの国内避難民を含む6,000人以上の子どもたちが、学習に適した安全な環境で勉強できるようになりました。
勉強熱心で好奇心旺盛なソレさんは、現在、シビウグーB小学校に通っています。シビウグーB小学校でも、以前は教室が足りず、児童たちは木の下で授業を受けていましたが、仮設学習スペースが建設され、学習環境が大幅に改善されました。
新設された仮設学習スペースの前で笑顔を見せる子どもたち
夫を亡くして以来ひとりで子どもたちを育てている母親のグミニ・アイラさん(30歳)は、ソレさんが授業を受けられていることを喜んでいます。「カヤに到着したとき、将来のためにソレを学校に行かせなければと思いました。ありがたいことに、ソレはいつもいい成績を取っています」
カヤの自宅前で座るソレさんと母親のグミニさん
一方、ソレさんの担任のサワドゴ・レーヌ・ペラジー先生は次のように話します。「ソレさんは最初は学校に来たがりませんでした。しかし、勉強の大切さを伝えると同時に母親の協力もあり、今では楽しそうに学校生活を送っています」
サワドゴ先生による授業の様子
「学校でアルファベットの書き方を学べて嬉しいです。将来は先生になりたいです」とソレさんは目を輝かせます。
授業を受けるソレさん
ユニセフは仮設学習スペースの建設に加えて、避難民の子どもたちのニーズに合った授業ができるように、教員205人を対象に研修を実施しました。教員は、より多くの児童が授業を受けられるために、午前と午後の二部制により交互に授業を行う方法や、障がいのある子どもを含めたすべての子どもが安全な学習環境で学べるよう、質の高い「子どもにやさしい学校」モデル、心理社会的ケア、「セーフ・スクール(安全な学校)」プログラムについて学びました。
「新しく来た子どもたちとはゲームやスポーツを通じて信頼関係を築き、サポートしています」と話すサワドゴ・サイドゥ校長は、避難民の子どもたちが新しい土地での生活に慣れるためには、心理社会的支援が重要だと強調します。
サワドゴ・サイドゥ校長
「スクール・フォー・アフリカ」を通じたご寄付のもと、避難民を受け入れる5つの地方において、3~17歳の子どもと青少年28万3,800人が適切な保護と継続的な教育を、公平に受けられるよう、ユニセフは支援を継続しています。「ブルキナファソの子どもたちに教育を届けられるのは日本の皆さまからの貴重なご寄付があるからです。心より感謝いたします」と、中北部地方の就学前・初等・非正規教育地方局長のウエドラオゴ氏は話します。
これまでに、学校に通うことができなかった子ども1万5,000人以上がソレさんのように勉強を続けることができ、8万8,000人以上が質の高い「子どもにやさしい学校」に通うことができています。