学校が円滑に運営されると、各組織がうまく機能するようになり、最終的に子どもたちの学習成果の向上につながります。モザンビーク政府の教育・人間開発省は、学校運営を改善するために予算を投入しており、ユニセフは校長等を対象とした研修の実施や研修教材の開発などを支援しています。2017年以降、ユニセフは学校の管理職532人を対象に学校運営についての研修を行い、日本の皆さまからのご支援で、ナンプラ州のモナポ地区とリバウエ地区で80人の校長等を対象とした研修を実施することができました。
リバウエ地区のナパソ小学校のアントニオ校長も、ユニセフが支援した研修を受講しました。彼女は、12年間教師を務めた後、2021年に校長に任命されました。「研修はとても有意義なものでした」と話します。「学校の運営方法や資金管理、教育学など、多くの新しいスキルを学ぶことができました。学んだことをぜひ実践してみたいと思っています」。
研修の期間は30日間で、6つの科目(教育学、学校運営、財務管理、リソース管理、法律、情報通信技術(ICT))を学びます。前半の15日間は、講義形式で行われ、後半の15日間は、参加者自身の学校における具体的な課題に取り組む実地研修が行われます。
この研修はアントニオ校長にとって、より良い校長になるためのモチベーションとなりました。教員として教えていた頃、常々、学校を取り巻く環境を改善することを望んでいました。研修を終えた今、彼女は目標を達成するためのスキルと自信をより一層身につけることができました。「私は、職員室の整備と教室の改修を通じて、学習環境を改善したいと思っています。学校の設備は教育の質や運営に大きな影響を及ぼすと考えていますが、私たちの学校は、基本的な設備がまだ不足しているのです」と語ります。
また、アントニオ校長は、学校の安全対策を強化したいと考えています。「生徒の安全を確保し、授業の妨げにならないよう、校舎の周囲にコンクリートで囲いを作って人や動物が入らないように対策を行います。現在、囲いは植物や地元で手に入る材料で作っていますが、この囲いを強化する必要があります」。また、新しく身につけたICTのスキルを活用することにも意欲的です。「ICTのスキルを使って、学校のデータをより効果的に管理し、計画立案のプロセスを改善したいです」と話します。
ユニセフは、子どもたちの学力向上につながる学習環境をより良くするために、今後も校長先生などを対象に学校運営について学ぶ研修の支援を継続して行っていきます。