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避難生活の中でも学校に通い続けたい

避難生活の中でも学校に通い続けたい

補習クラスに参加するジャックリーヌさん

12歳のジャックリーヌさんは、生まれ育った村の大きなタマリンドの木の下で、友だちと石けりをして遊ぶことが大好きな女の子でした。そんな平和な村での生活が武装勢力による襲撃で失われました。ジャックリーヌさんは、武装勢力に村が襲撃され、住民たちが発砲された日のことを思い出します。「すぐに隠れて逃げ出しました。夜のうちに移動し、翌日、午後2時ごろに(避難先に)到着しました」。

ブルキナファソでは2019年以降、隣国ニジェール、マリとの国境に接している地域において、武装勢力の襲撃などにより、治安状況が悪化しています。その影響は拡大し、2022年4月現在、190万の人々が国内での避難生活を余儀なくされています。治安状況が悪化した地域では、すべての学校が閉鎖に追い込まれ、数万人の子どもたちが、カヤ、ブスーマ、ピシラなどの地域に避難しました。避難先となった地域では、大勢の避難民を受け入れる準備ができておらず、小学校でも教室や教員が不足し、多くの子どもたちが教育の機会から取り残されました。ジャックリーヌさんも2年近く、教育を受けることができませんでした。

「ある日、兄が小学校での集まりに出席し、周辺地域に住む避難民の子どものための補習クラスが開かれていることを知ったのです。翌日、兄はすぐに私を学校に連れていってくれて、それで私はクラスに参加することができました。学校に戻れて本当に良かったです」とジャックリーヌさんは話します。

補習クラスが行われている小学校

補習クラスは、小学1年生から6年生を対象に、平日午前7時から正午まで授業が行われます。授業は、フランス語、理科、算数に重点が置かれ、通常9カ月かけて学ぶ内容を4カ月の短期集中授業でカバーし、修了後は公立の学校に復学できるようにカリキュラムが組まれています。また、WFP(世界食糧計画)と協力し、期間中、給食を提供できるようになりました。補習クラスは、地元の小学校が夏休みの間、空き教室が活用されるため、7月から開始され10月末に修了する予定です。ジャックリーヌさんは、他の子どもたちとともに、クイム・クーリ B小学校での補習クラスを修了後、11月から同小学校に編入する予定です。

クイム・クーリB小学校のマハディー先生

マハディー先生は、カヤのクイム・クーリB小学校の5年生担任です。補習クラスが始まった7月に登録した子どもは39人でした。「7月に授業を開始してからも、勉強したい子どもたちが次々と参加してきます。私は、すでに登録を済ませている子どもたちと復習をしながら、他の子どもたちが後から参加してくるのを待っています」。マハディー先生も他の教員と同様、緊急事態下の学校教育に関する研修を受けました。万が一、学校が襲撃されたときに子どもや教員の身を守れるように「セーフスクール(学校内で安全な環境を確保する方法)」について学ぶとともに、子どもや教員の心理社会的ケアに関する理解を深めました。

ユニセフから学用品を受け取った小学1年生のファイカル君

教育支援は、避難民の子どもたちだけでなく、周辺地域に住む子どもたちにも届けられました。クイム・クーリ B小学校の1年生ファイカル君もユニセフから学用品を受け取りました。通学用のカバン、黒板、ノート、ペンなどの学用品セットは、子どもたちにとても喜ばれています。「毎日、肩にカバンを背負って学校に来るのが楽しみです。学用品をもらってとても嬉しいです。2年生に進級できるように勉強を頑張ります」と、笑顔で話してくれました。

サンマテンガ県の就学前・初等・非正規教育の担当局長のムーニン氏は、治安の悪化が子どもたちの教育に影響を及ぼしている今の状況を、非常に残念に思っています。治安が悪化した地域で学校が閉鎖され、教室が不足しているため、教育システムから取り残されている子どもたちがたくさん存在します。「国内の避難民が、より安全な町へ次々と避難しているため、避難先で子どもたちが教育を受けられないという課題に直面しています。様々な協力団体の支援を受けながら、すべての避難民の子どもたちが勉強を続けられるように試みています」。

「スクール・フォー・アフリカ」を通じた日本の皆さまからのご寄付により、5つの地域の60校で、1万5千人の避難民の子どもたちが補習クラスに参加し、学びを継続することができています。また、360人の教員が補習クラスのための研修を受けることができました。不足している教室の問題を解決するために、仮校舎の建設も同時に進めており、ユニセフは、緊急事態下の中でも子どもたちの教育が中断されないように支援を継続していきます。

(2022年10月更新)