ブルキナファソの無許可の金採掘場※では、約3,000人が働いていますが、その内のおよそ1,000人は子どもたちです。間に合わせのハンマーや棒で大きな岩から小さな石に細かく砕く作業を行っています。
すぐ近くに、この金採掘場から続く小さな丘があり、丘の上には手作業で掘った地下約46メートルの深さの坑道があります。ダウダさんはすでに10年も鉱山で働いていて、学校には一度も通ったことがありません。金鉱山で成功した人たちの話を聞き、自分の運を試すと決めたのです。
ブルキナファソの無許可の金採掘場※では、約3,000人が働いていますが、その内のおよそ1,000人は子どもたちです。間に合わせのハンマーや棒で大きな岩から小さな石に細かく砕く作業を行っています。
すぐ近くに、この金採掘場から続く小さな丘があり、丘の上には手作業で掘った地下約46メートルの深さの坑道があります。ダウダさんはすでに10年も鉱山で働いていて、学校には一度も通ったことがありません。金鉱山で成功した人たちの話を聞き、自分の運を試すと決めたのです。
ダウダさんは地下の採石場と地上を行ったり来たりして作業しています。「ロープ一本で地中深くの採石場まで下り、指示されたものを採って地表に戻るんだ」彼は言います。坑道の中は真っ暗でとても暑く、鉱山に入るときは坑道を照らすライトや懐中電灯を額につける必要があります。
「坑道の中は酸素が足りなくて息が止まりそうになったよ。」彼の手は動きを止めることなく、鉱石を採っては砕き、砕いてはまた採る作業を続けます。
幼い子をきつくおぶっている母親は、地べたにしゃがんで土や石を手でかいては浅いボールに入れています。この石や土ははかりにかけられ、もし金が見つかれば、鉱山労働者は皆いくばくかの収入を得ることができるのです。もしその採掘場で金が見つからなければ、労働者たちは金があると噂される次の現場に移動していきます。鉱山労働者はそのきつい仕事に見合う収入はほとんど得られず、ましてや子どもたちが手にできるお金はほんのわずかです。
金鉱山の周辺に村が作られると、鉱夫たちが袋に入れて持ち寄った鉱石を粉状にすりつぶす鉱石加工センターも作られます。粉状になったものは通常、水銀を使って加工され、さらに別のところで金の塊へと精製されるのです。
鉱石の破砕機は滑車、ベルト、金属研磨盤と、煙が噴き出るようなディーゼルエンジンをその場しのぎに取り付けた代用品です。そして破砕機に岩石を投入するのは大人の男性の力が必要ですが、その他はほとんど子どもたちの仕事です。子どもたちは保護メガネをすることなく金属研磨盤を使い、防塵マスクをせずに細かくなった粒子をすくっては袋詰めをし、彼らがとってきた鉱石を破砕する機械のすぐそばを行ったり来たりしているのです。
大きな音のする破砕機の騒音で耳は悪くなります。機械は休みなく雲のような粉塵を噴き出すので、子どもたちは頭から裸足の足先まで粉塵にまみれていて、常に咳をしている状態です。鉱山での児童労働は違法です。また常に粉塵や有害化学物質にさらされ、重労働、ケガ、死亡、長期の健康被害のリスクが高い 鉱山での児童労働は、ILO(国際労働機関)で最悪の児童労働に分類されています。すでに明らかになっている健康被害としては、細粒状の鉱物を吸い込むことによる恒常的な肺へのダメージ、筋肉や骨の疾患、難聴、事故による失明、神経系にダメージを与える水銀中毒などがあります。そして、子どもたちは働いている間は当然学校には通えていません。
ユニセフのブルキナファソ事務所のマーク・ルビン代表によると、「ブルキナファソの少年少女たちは、少しでもいい生活がしたいと、金鉱山にひきつけられていますが、危険と絶望の堂々めぐりの中で身動きが取れなくなっていることも自覚しています。世帯収入がとても低い社会で児童労働を根絶することはできないのです。親たちの生活の問題に取り組み、児童労働に関する法律への意識を高め、法律を執行し監視する政府の能力を強化することが求められているのです。搾取的な児童労働をなくすために、学校教育、財政的な支援、職業訓練と新しい仕事などを提供していかなければならないのです。」
ユニセフはブルキナファソの5つの地域に広がる40の無許可の金採掘場で働く子どもたちに教育・経済的な機会を与えるため、政府や現地NGOの支援をしています。2009年以降25,000人の子どもたちを鉱山労働から解放し、教育、心理社会的なサポート、職業訓練などの支援を行っています。
※無許可の金採掘場・・・政府の許可を得ず、手掘り同然で採掘を行う金採掘の形態。政府の監視が行き届かず、多くの未成年者が厳しい労働条件で働いている。現在ブルキナファソには約700の零細金採掘場があり、数十万人の子どもが働いているとみられている。