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村で屋外排泄をなくすために

村で屋外排泄をなくすために

大きなマンゴーの木の下に村の人たちが座って、コミュニティワーカーの話に耳を傾けています。ユニセフが支援するNGOの取り組みで、屋外排泄の様々なリスクについて説明しているのです。

1人の女性が立ち上がり、屋外排泄による健康上のリスクについて発言しました。「排泄物に汚染された食べ物を口にすることになるのよ。屋外で排泄をすると、排泄物が雨水で運ばれ、私たちの好きな食べ物を台無しにしてしまうの。」

ラスマタ・サワドゴさん(62歳)は、村の衛生委員会のメンバーとして精力的に活動しています。「最初は恥ずかしかったし、コミュニティ主導の包括的な衛生(CLTS)アプローチ※に巻き込まれるのが嫌でした。でも自分と子どもたちの健康を守れる人は私しかいないのだと決意し、トイレを作ることにしました。」

カルママ村はブルキナファソ東部のパマ市にあります。2015年1月に村でCLTSアプローチが始まってから衛生委員会を立ち上げ、村人たちが助け合いながら活動を進めています。

今では、カルママ村の全家庭にトイレがあります。これは村全体で衛生問題に取り組んでいる証です。村人たちはひとつ100CFA(約20円)もする石鹸の代わりに、トイレ後の手洗いに灰を活用しています。

男性たちが村周辺の金鉱山で働いているため、村のトイレのほとんどは女性たちが作りました。「うちの夫はわらでトイレの囲いを作るのを手伝ってくれたけど、それだけよ」ラスマタさんは話します。

村人たちの力で全家庭にトイレが設置できた成功のカギは、住民同士の結束です。衛生委員会の委員長は、村人から尊敬され影響力のある村長が務めています

村長は、定期的にミーティングを開きトイレ建設の進捗状況を確認したり、トイレ建設に手間取っている人たちを手助けするよう村人に呼びかけたり、村の衛生活動に深く関わっているのです。

村の人たちは、村の衛生活動にいつも協力的で、助けを必要としている村人に積極的に手を差し伸べました。すべてのトイレが、実験的に略式で作られたものかもしれませんが、助成金を受けずにトイレ建設が達成できたのは村人たちの功績です。トイレ建設に必要な費用は住民からの支出ですべてまかないました。

「トイレの穴を掘り終え、囲いを作るための木を集めると、お隣さんが囲いを作るのを手伝ってくれたし、土台を強化するためにセメントを買ってきてくれた人もいたのよ」とマリアム・サワドゴさんは話します。

CLTSアプローチの取り組みはカルママ村の人々に恩恵をもたらしました。以前は村を流れる小川で村人たちは排泄していました。「私たちは無知でした。トイレの重要性を知ってからは、屋外で排泄することはなくなりました」ラスマタさんは言います。

ブルキナファソ東部でのCLTSアプローチにより、政府の助成金を受けることなく、村人たちの手によって2016年1月から5月の間に1,858個ものトイレが建設されました。 これまでに37の村のうち13の村でトイレの建設を終えています。これらの村は、「屋外排泄ゼロ」の村として認定され、今後も定期的なモニタリングが行われます。

※コミュニティ主導の包括的な衛生(CLTS)アプローチ…住民が自らトイレが必要だと考えトイレづくりを行う、住民の意識の変化や行動変容に焦点をあてた方法です。コミュニティで習慣的に行われている屋外排泄をなくし、衛生的で健康的な生活を送るために、地元で手に入れることができる資材を集めて自分たちの力でトイレを作ります。トイレが壊れたときも住民自身で容易に修復することができるため持続性が高く、地元の資材を使用したトイレの建設や修理は費用も抑えられます。住民がトイレの重要性を理解することで、持続的なトイレの普及と規模の拡大が可能になります。
(CLTS:Community-Led Total Sanitation)

写真クレジット:©UNICEF/Burkina Faso/2016/Garcia