「子どもの権利を大切にする教育」
の推進

 CRE(Child Rights Education:子どもの権利を大切にする教育)の取り組みでは、主に、教育現場において「子どもの権利」の周知と理解を図ること、また、子どもたちの権利が守られた学校づくりを推進していくことに焦点をあてて活動を進めました。

 様々な機会を通して、「子どもの権利」について学校の先生方向けの研修や児童生徒向けの授業を行ったほか、「子どもの権利条約」についての学習資料を作成し学校へ配布するとともに、子ども向け学習サイトを含めた「子どもの権利条約」特設ウェブサイトを新たに開設しました。

 また、「子どもの権利を大切にする教育(CRE)」の普及について、手軽に先生方に目を通していただくことのできる資料「子どもの権利を大切にする教育 先生のための実践ガイド」を作成し、秋季学校資料として全国の学校・園に配布しました。

子どもの権利を大切にする教育 先生のための実践ガイド

「子どもの権利を大切にする教育 先生のための実践ガイド」

政府の「こどもまんなか」
の取り組みを応援

 2023年4月にこども家庭庁が始動し、ユニセフや当協会が長年訴えてきた、子どもの権利の尊重が明確に位置付けられた「こども基本法」が施行されました。また、12月に決定された「こども大綱」では、子どもが権利の主体であることが明確に謳われました。

 当協会は3月にこども家庭庁が開始した、こどもの意見反映の仕組みづくりにも協力。11月に本部事務局次長が来日の際は、こども政策担当大臣、文部科学副大臣への表敬訪問の機会を設け、引き続き、こども家庭庁、文部科学省と連携していくことを高官レベルで確認する機会をつくりました。

子どものウェルビーイングをテーマに、シンポジウム開催

 G7富山・金沢教育大臣会合の開催直前の2023年5月、文部科学省の協力も得て、「G7富山・金沢教育大臣会合応援事業」として、シンポジウム 「子どもたちのウェルビーイングをどう高めるか?~教育現場での子どもの権利の実践を通じて」を開催。

 教育を通じて子どものウェルビーイングをどう高めるか、文部科学省、ユニセフ本部、国内の専門家とともに議論しました。子どものウェルビーイングは、教育振興基本計画の柱の一つになっています。

竹内教授(右)をモデレーターとして、中島先生(中央)と、元小学校長で現日本ユニセフ協会の金子・学校事業部長(左)によるパネルディスカッション。

子どもの貧困問題への取り組み

 2023年12月、「レポートカード18:豊かさの中の子どもの貧困」が公表されました。子どもの貧困率と2010年代前半からの貧困率の改善度に基づく総合順位で、日本は39の先進工業国中8位でしたが、これまでのレポートカードシリーズの編さんにも参加された東京都立大学の阿部彩教授(当協会評議員)は、経済状況改善の恩恵を受けられた世帯とそうでない世帯の格差が広がった可能性を指摘しています。

「レポートカード18:豊かさの中の子どもの貧困」

「レポートカード18:豊かさの中の子どもの貧困」

気候変動・環境問題に子どもたちの声を

 国連子どもの権利委員会による気候変動・環境問題に関する「一般的意見26」が8月に公表されました。11月の国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)を前に、当協会が2022年に委員会に提出した日本の子どもたちの声も活かされた「一般的意見26」を子どもにわかりやすく伝える「子ども版」の日本語訳を公表。関係省庁にも本部のメッセージを添えて送付するなどして、日本政府にも、子どもの視点を持った気候変動・環境問題への取り組みを訴えました。

国連子どもの権利委員会「気候変動に焦点をあてた子どもの権利と環境に関する一般的意見26」(発行・仮訳:日本ユニセフ協会)

国連子どもの権利委員会
「気候変動に焦点をあてた子どもの権利と環境に関する一般的意見26」
(発行・仮訳:日本ユニセフ協会)

「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」に関する取り組み

 2023年1月、愛知県豊田市が「ユニセフ日本型CFCI 候補自治体」として承認されました。6番目の「ユニセフ日本型CFCI実践自治体」を目指し、体制構築など準備作業を進めています。11月には、「子どもの権利条約フォーラム」が豊田市で開催され、日本ユニセフ協会も、豊田市と共催で、分科会「広めよう!子どもにやさしいまちづくりの実践」を開催しました。

基調講演:国連子どもの権利委員会 大谷 美紀子 委員(日本ユニセフ協会理事)

基調講演:国連子どもの権利委員会 大谷 美紀子 委員(日本ユニセフ協会理事)

「子どもの権利とスポーツの原則」
子ども向けサイト

 2018年に発表したユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」をイラストなどを交えてわかりやすく解説し、子どもたち自身がスポーツにおける「子どもの権利」を学ぶことができる、子ども向けウェブサイト、ユニセフ「こどスポ」を2023年5月に公開し、本原則の普及に努めました。