支援活動の根幹を支える
日本から世界へ 189億7,574万円

 世界の子どもたちのためにお預かりした「ユニセフ募金」は、支援の必要性に合わせてあらゆる国、地域、支援内容に活かすことができるユニセフ本部の通常予算に拠出されます。日本ユニセフ協会の通常予算への拠出額は米国政府と並び極めて高く、最も困難な状況にある子どもを最優先で支援するユニセフの取り組みに大きく貢献しています。

元気になったラウアリーくん(ニジェール)

元気になったラウアリーくん(ニジェール)

通常拠出/通常予算とは

 ユニセフの予算は、支援先の国や地域、分野を限定せず、柔軟に活用できる「通常予算」と、緊急・人道支援を含む国や地域、プロジェクトをあらかじめ指定する「その他の予算」に分かれます。多くの方にご参加いただいている毎月定額の募金プログラム「ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム」を通じたご協力をはじめ、日本の皆さまからご寄付いただいたユニセフ募金は、このうちの「通常予算」に拠出させていただいています。この「通常拠出」の支えによって、ユニセフは150以上の現地事務所に不可欠な資金を確保でき、世界各地での支援活動を維持することができています。また、人道危機が新たに発生した際、即時に対応する資金としても活用されています。

ETHIOPIA/NIGER 通常予算は、ユニセフの活動のすべての分野で生かされます。

支援事例

深刻な栄養不良から子どもを救う

 長い間、深刻な干ばつが続いているエチオピア北東部。下痢と嘔吐を繰り返しぐったりとしていた生後6カ月のメディナちゃんを連れ、母親のアミナさんが村の保健センターにやってきました。診断の結果、重度の栄養不良に陥っていることがわかったメディナちゃんにはすぐにRUTFと呼ばれる栄養治療食*が与えられ、2週間の入院治療後には元気に退院することができました。

 ニジェール第2の都市マラディの保健センター。祖母のサホウラさんに連れられてきた1歳半のラウアリーくんは、口の中がただれ、なにも食べることができない状態でした。立ち上がることさえできないラウアリーくんの様子に希望を失いかけていたサホウラさんですが、「治療のおかげで、孫は今、立ち上がって私の名前を呼ぶこともできます」と嬉しそうに話します。

 ユニセフの推計によれば、世界で約4,500万人の子どもたちが消耗症と呼ばれる重度の栄養不良状態にあります。もともと貧困など厳しい環境に置かれていた子どもたちが近年の気候変動や紛争の影響で、さらに深刻な状態に追いやられています。ユニセフは栄養不良を予防・発見・治療するための活動を世界中で継続しています。

*RUTF=Ready-to-Use Therapeutic Food(すぐに口にできる栄養治療食)の略。粉ミルク・ピーナッツ・バター・植物油・砂糖・ビタミン・ミネラルなどがペースト状になって小袋に入っている栄養治療食。袋から直接食べることができ冷蔵も不要。消化の早いペースト状のため、短時間で体重を増やすことができ、栄養不良の治療に欠かせない支援物資です。

医師から栄養治療食(RUTF)を
与えられるメディナちゃん

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