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補習授業を通してふくらむ将来への希望

補習授業を通してふくらむ将来への希望

教員になることを夢みるジュリエット・ウエドラオゴさん(14歳)。暴力の拡大と治安の悪化により、生まれ育ったダブロの町を離れることになるとは想像もしていませんでした。「ある日、授業中に武装勢力がやって来て私たちを教室から連れ出そうとしたので、その場からとにかく逃げました。その後、家族とともに、バスでカヤに向かいました」とジュリエットさんは当時を振り返ります。

ブルキナファソでは2019年以降、隣国ニジェール、マリとの国境に接している地域で、武装勢力の活動により治安が安定しない状況が続いています。暴力の拡大で、約200万人が安全を求めて都市部への避難を余儀なくされており、ジュリエットさん一家も中北部地方の首府カヤに移り住みました。

「カヤまでの道のりは、おなかが空いたり喉が渇いたりして、とても辛いものでした。途中の町で休みたかったのですが、そこも治安が悪く、野宿をしながら進み続けました。ダブロでは子どもたちを育てるために食料品を売っていましたが、カヤでは仕事がありません。毎日町に出て、日々の食事のために小さな仕事を探しています」と、ジュリエットさんの母ハビブ・サワドゴさんは話します。

ジュリエットさんと母親のハビブさん

一方、ジュリエットさんは教員になるという夢を再燃させました。カヤに到着したちょうどその月に、避難先の自宅に隣接する公立学校で、補習授業が始まったのです。「ジュリエットさんは、治安上の問題で中退してしまった子どもたちのための補習授業に参加しています。新学期になったら無償で公立学校に戻る予定です」と話すのは、カヤにあるユニセフ事務所のセバスチャン・ヤメオゴ教育担当官です。

2023年10月時点で、国内の学校5,723校が休校しており、生徒88万8,837人と教員2万6,559人が影響を受けています。子どもたちが勉強の遅れを取り戻せるよう、ユニセフ、国民教育・識字・国語推進省およびパートナー団体は、補習授業やラジオによる教育プログラムを実施しています。また、治安悪化の影響を受けた遠隔地に暮らす何千人もの子どもたちが学校に戻れるよう、ユニセフは、バッグやノート、ペンなどを含む学習教材キット10万8,300個を届けました。

首都ワガドゥグにあるユニセフの物資倉庫で、学用品の入ったユニセフバッグを準備している様子

学習教材キットを届けるユニセフ職員

「学用品は買う必要があると思っていたので、今回もらえてとても嬉しいです!将来は先生になって、子どもたちに知識を広めたいです。先生になれば両親を養うための生活費を稼ぐこともできるようになります」と笑顔を見せるジュリエットさんは、学習環境が整った今、将来を見つめています。

学用品の入ったユニセフバッグを受け取ったジュリエットさん

ユニセフは2023年、公式教育、短期集中型の授業、職業訓練、ラジオ番組などを通じて76万3,000人の子どもが教育を受けられるよう、国民教育・識字・国語推進省を支援し、15万個以上の学習教材キットと学用品を配布しました。また、新たに350校の小学校に「質の高い、子どもにやさしい学校」モデルと「セーフ・スクール(安全な学校)」プログラムを導入できるよう、教員研修も支援しました。

(2024年3月更新)

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