3人の子どもたちのストーリー
3人の子どもたちのストーリー
ブルキナファソでは、幼稚園や保育園などの就学前教育を受ける子どもたちの割合が低く、2017年ではわずか3.5%にとどまっています。就学前教育により子どもたちは、認知能力が高まり学習する準備ができるため、小学校での学習が遅れることなく、中途退学が減ることがわかっています。ユニセフは、2021年までに就学前教育を受ける子どもの割合を15%まで引き上げることを目標にしています。
シタ・デンベレさん
ウムのお母さん
幼稚園はとても大切な場所です。私には子どもが4人いて、やらなければならないことがたくさんあります。穀物の製粉、炊事、洗濯、そして夫の手伝いの畑仕事。また家族の収入の足しになるような商売もしています。この他に、幼稚園で子どもたちの軽食を調理したり、学校の母の会のメンバーたちと話し合いをしたりします。このように忙しくしながら、幼い子どもたちの面倒を見ることはとても大変です。
子どもたちが3歳になるまでは、母親としての責任があります。その後は、子どもが幼稚園に通っていなければ、買い物に行ったり畑仕事をしたりして留守にするときに娘の面倒を見てくれる人を探さなければなりませんし、見つからなければ娘の面倒を自分で見なければなりません。夫は子どもたちのことなど心配することなく、自由に外出し、自分のしたいことが何でもできます。私はそうではありません。だから、他の多くのお母さんたちのように、学齢期の子どもを小学校に行かせずに、家においていました。コロティミはまだ6歳でしたが、家事を手伝い、私が畑や市場に行って家を留守にしている間に、妹のウムの面倒を見ていました。でも家を出るときはいつも心配でした。私がいない間に何かあったら?あの子たちがけがをしたり、病気になったり、助けてくれる人がそばに誰もいなかったりしたら?
ウムを幼稚園に、コロティミを小学校に通わせれば、私は子どもたちの心配をすることなく、自分の仕事ができます。また、娘たちは幼稚園や小学校で軽食をとることができるのです。2人を通わせたいと、夫に提案したときには、コロティミはすでに小学校入学の年齢から1年遅れていました。夫は賛成してくれましたが、反対されたときのために私は貯金していました。
今は、ウムが幼稚園に行っている午前中に自分の仕事をしています。午後にウムが家にいても、午前中に用事をすませているので何とかやりくりできます。背中にはもう1人1歳になる子どもをおぶっています。私はこの子が幼稚園に行ける3歳になったらすぐに通わせようと思っています。
コロティミちゃん
ウムのお姉さん
私は学校に行くのが大好きです。以前は家にいて1日中、妹の面倒を見ていました。大変でした。抱っこしてあちこち行かなければいけないし、ご飯を食べさせないといけないし、体が汚れれば洗ってあげないといけません。お母さんが市場や畑に行っている間、私たちはよく2人だけで留守番をしていました。時には知らない人が家に来て、怖くてウムを抱えて大人がいる近くの家に逃げたこともありました。
友達の中には私のように、弟や妹の面倒を見るために、学校に通えずに家にいる子もいます。でも学校に通っている子もいます。自分が家で妹の面倒を見なければならないときに、学校に通う子たちを毎朝見送るのは嫌でした。
でも今は、ウムが幼稚園に通っているので、私も小学校に通えます。学校は素晴らしいです。友達と遊んだり、グループ活動をしたりするのが大好きです。文字を習うのも、絵を描いたり歌ったりするのも楽しいです。私は学校が本当に大好きなので、大きくなったら先生になりたいと思っています。
ウムとお母さんの一日
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06:38 起床後、ウムとコロティミの身支度を手伝います。家族で朝食を食べた後、学校に向かいます。
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07:15 学校に向かう途中に川があるので、川を渡りきるまで子どもたちに付き添います。川を越えたら、子どもたちだけで学校に向かいます。
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7:40 幼稚園が始まります。ウムは他の子どもたちと一緒に教室に入ります。
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08:22 みんなで歌と手拍子をします。ダンスや数を数えたり、言葉を復唱したり、ゲームをしたりします。
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10:38 日陰でお母さんたちが作ってくれたクスクスをおやつに食べます。
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11:23 授業の最後は、先生が本の読み聞かせをしてくれます。
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11:31 ウムが幼稚園に行っている間、市場で売るためのシアバターを作ったり、市場で物を売ったりできるようになりました。母の会の会合に出ることもあります。
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13:18 ウムが帰宅しました。午後はいとこと遊んで過ごします。
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15:35 子どもたちの面倒を見ながらなので、午後はなかなか家事が進みません。
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17:40 コロティミが宿題をしている側で、ウムに幼稚園で何をして遊んだか聞きます。ウムが幼稚園で学んだことを聞くこの時間を毎日、楽しみにしています。
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ウム の その後
~7歳~
小学校2年生
その後、ウムは幼稚園を卒園し、小学校2年生になりました。「小学校に入学したときは、とても内気な子でした。今では、少しずつ内気さがなくなり、教室内でもよくしゃべるようになりましたよ。入学当時は注意深く見守ってきましたが、ウムはとてもよくやっています」と校長先生は話します。幼稚園に通っていたおかげで、小学校生活もスムーズに適応することができました。
ウムのお母さんシタさんは、市場でシアバターを売る仕事を続けています。「ウムのことを誇りに思います。家にいるときは、お姉さんと一緒に家事を良く手伝ってくれます。でも本当は家で過ごすよりも友達と遊ぶほうが好きみたいです。楽しんでいるようですよ」。
ウムは、ひとりで身体を洗ったり、付き添いなく小学校に通えるようになったり、より自立することができました。「お姉ちゃんと一緒に幼稚園に通っているときは、お母さんに途中まで送り迎えをしてもらっていたけど、今はひとりで小学校に通っています!」と胸を張って答えてくれました。
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ウムからのメッセージ
(小学5年生)
写真クレジット:©UNICEF/Burkina Faso