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財団法人日本ユニセフ協会

各国からのレポート1 シエラレオネ

子ども病棟のモハメッド
© UNICEF Sierra Leone

2007年4月16日 シエラレオネ フリータウン発 「経口補水塩が効いた・・・」
 病院のベッドの上で水の入ったコップと乾パンひと切れを持って、悲しげにふさぎ込んだようすの男の子、モハメッド。透けるかのような薄い肌から骨が浮き出して見えます。まだほんの小さな子どもなのに、その肩には世界中の苦しみを背負っているかのよう。老けこんで、不幸な老人のようです。

 モハメッドはたったの2歳。たび重なる下痢で、深刻な栄養不良に陥っています。シエラレオネの首都、フリータウンの東の端にあるオラ・デュリング子ども病院に入院して3週間がたちました。
 「モハメッドは下痢をしていて、ひどく吐くうえに、熱もありました。1週間近く体がすごく熱かったんです。最初にウェリントンにあるコミュニティの診療所に連れて行きました。4日経ってもよくならなかったので、別の診療所に連れて行きました。翌日、この子がとても弱ってきたので慌ててこの病院に連れてきたのです」と、ジョセフィンさん。「ようやく下痢の症状がなくなったので、あとは回復を待つだけです」ジョセフィンさんはなぜモハメッドがよく下痢をするのか分からないと言います。「今回は死んでしまうんじゃないかと、本当に心配になりました」

シエラレオネでは、5歳未満の子どもの死亡の最大の原因のひとつが下痢です。
 下痢は子どもの栄養不良も引き起こします。下痢によって、ほかの病気が悪化したり、栄養不良が進んだりすることもあります。

 「モハメッドは本当によく回復してきていますよ。最初にここに来たときの彼のようすを見せたかったわ。」看護師のカマラさんは言います。「しばらくの間は目を離せないような状態でした」
この病棟に連れてこられる子どもたちの多くが、下痢やマラリア、貧血を患っているといいます。ひとつの病棟には平均していつも16〜20人の子どもが入院しており、同じような病棟が他に3つ、それから、栄養改善センターがあり、そこでもいつも20人ほどの子どもたちが治療を受けているそうです。

安全な飲み水がないこと、トイレなどの衛生施設がないこと、寄生虫の蔓延、紛争による保健施設などインフラの破壊や人の移動・・。こうしたことすべてが下痢性の病気を引き起こす原因となり、子どもたちの命や健康を脅かしています。

状況は改善されてきている
 病棟担当のカマラさんは、言います。「子どもをどう世話したらよいのか、よく教えていく必要がありますね。ここに来る子どもたちのほぼすべてが下痢の症状を見せています。母親の多くは経口補水塩のことを知っているし、使い方やどこで手に入れるのかなども知っているのです。でも、安全な飲み水を得るお金がなく、つい汚れた水を使うのです。母親はここでの経験を経て、子どもたちの世話により注意深くなっていきます。」

ジョセフィンさんとモハメッド
© UNICEF Sierra Leone

 モハメッドは3人きょうだいの末っ子です。8年生で18歳のお兄さんと2年生で9歳のお姉さんがいます。母親のジョセフィンさんは、冷たい水とジンジャーエールを売って生計を立てています。お父さんはいません。上のきょうだい2人が商売を手伝っていますが、稼ぎは1日平均でおよそ10,000レオン(3米ドル)にしかなりません。

ジョセフィンさんは、モハメッドがまだ生きていることを本当に幸せに思っています。「経口補水塩がどんなに大切かが良くわかりました。もし、またモハメッドが病気になっても、今度はちゃんと看病できると思います」

経口補水塩(けいこうほすいえん:Oral Rehydration Salt, ORS)は、主に下痢、嘔吐、発熱等による脱水症状の治療に用いられます。食塩とブドウ糖を混合したもので、これを水に溶かして飲むことで、体に水分が補給されます。ユニセフは各地でこの経口補水塩を提供しています。1リットル用のORSは1袋約6円で調達することができます。

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