国際エイズ会議:ユニセフ、東ヨーロッパと中央アジア地域の子どもと若者のエイズ問題に関する報告書を発表へ
【2010年7月14日 ニューヨーク発】
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© UNICEF/NYHQ2005-1816/Pirozzi |
ウクライナの首都キエフにある青少年のための市民社会サービスセンターの庭で、ソーシャルワーカーに抱きしめられる女の子(6歳)。 |
東欧・中央アジアのHIVと共に生きている若者について、ユニセフがまとめた最新の報告書によると、この地域で抗レトロウイルス薬治療を受ける必要がある人々のうち、治療を受けている人の割合は、わずか24パーセントに過ぎません。HIV/エイズには、麻薬注射の常習者などの問題もあり、強い偏見や差別が存在しています。
『非難と追放』と題された本報告書は、7月18日から23日までオーストリアのウィーンで開かれる第18回国際エイズ会議の開催中に発表される予定です。この会議には、HIV対策の現場で活躍している人々や政策決定者、HIVと共に生きている人々をはじめ、様々な立場からHIV/エイズ問題の根絶のために活動している人々が参加する予定です。
本報告書の執筆者のひとり、ユニセフ中・東欧/独立国家共同体地域事務所のニナ・フェレンシスHIV/エイズ問題上級アドバイザーは、本報告書の発表に先立ち、その内容を以下のように説明しました。
取り残される若者たち
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ロシア西部カリーニングラードにあるユニセフが支援している麻薬予防センターで、落書きされている壁の前に立つディマさん(18歳)。 |
最も感染の恐れがある若者の多くは、おとなが提供している支援やサービスへのアクセスが困難な場合が多いようです。政府や(エイズ問題に取り組む)市民社会グループは、非合法で社会的に受け入れられていない麻薬の常習者や、性産業に従事している人々の行為を容認しているかのように見られることを恐れるがため、結果的に、最も感染リスクの高い若者たちへの支援を避けてしまっています。
「こうした行為を行っている少数の人々や、若者たちがいるということを認めたくないのです。」(フェレンシス上級アドバイザー)
また、この地域の若者の多くは、HIV検査や治療を受けるために必要な登録をすると、彼らが犯している危険な行為が、警察などに通報されてしまうのではないかと恐れているのです。国連開発計画が、東欧と中央アジアの6ヵ国で実施した最新の調査では、HIVと共に生きている人々は、健康への悪影響よりも、社会的な偏見や差別を恐れていると指摘しています。
危険な行為の要因
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ロシア西部のカリーニングラードで、ユニセフが支援しているHIV/エイズによって孤児となった子どもたちのための施設にいるアレクサンドラちゃん(生後1歳5ヵ月)。 |
この問題を難しくしているもうひとつの要因は、社会的、経済的な理由から、また家族内の問題によって、親と離れて暮らしている子どもが増えていることです。
専門家は、この地域のストリートチルドレンの数は、100万人以上に上ると推測しています。こうした子どもたちは総じて貧しく、性産業に従事して生計を立てている子もいると見られています。
この問題の解決に向けて乗り越えなければならない一番大きな壁は、この問題が、社会が『非行少年少女』あるいは『反社会的な人物』とみなしている人々に、最も大きな影響を与えているという現実を受け入れることです。今、市民社会と政府が共同して女性や子ども、そして若者たちを対象にした新たな包括的サービスの様々なモデルがつくられていますが、この地域の未来は、こうしたサービスに掛かっています。
非難から思いやりへ
本報告書は、支援や保護を必要としている多くの若者がいることを明らかにしています。
「危険な行為に及んだり、すでにHIV/エイズと共に生きている最も弱い立場の子どもたちと若者たちを取り巻く問題に、注目が集まることを期待しています。」「こうした子どもたちに支援を届けるためには、特別な配慮や特別なサービスが必要です。」(フェレンシス上級アドバイザー)
本報告書は、子どもと若者への支援をするために、『非難と追放』は『ケアと思いやり』に代わらなければならないと訴えています。「このままこの問題が放置され続ければ、子どもたちが背負っている苦しみ−それは、“自らが招いた不幸”とみなされることが多いのですが−は、単なる問題として認識されるだけのものであり続けます。その解決のためには、より大きな共感と社会的な受容が必要です。」
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