日本ユニセフ協会の主な活動—広報活動
2023年度の活動ハイライト(広報・啓発)
子どもたちを支援するユニセフの活動をご理解いただくため、さまざまな広報活動に取り組んでいます。また、国内活動の大きな特徴の一つである、学校現場と連携した学習活動(出前授業など)に関してもご紹介しています。
世界の人道危機やユニセフの支援をいち早く伝える
ユニセフ本部や各現地事務所から日々発信されるプレスリリースを日本語に翻訳し、海外支局を含む国内報道機関に配信しています。日本国内の取り組みに関する配信も含めた2023年のプレスリリース配信数は230本にのぼり、2月に発生したトルコ・シリア地震や10月にガザ地区での武力衝突の激化など、多くのメディア媒体で取り上げられました。また、ユニセフ本部や各国現地事務所の広報官とも連携し、報道各社への取材協力も行いました。
グローバル・キャンペーンの国内展開
世界各地の人道危機だけでなく、「世界予防接種週間」などの国際記念日・週間、COP18等の国際会議やイベントに合わせて、プレスリリースやWEB・SNSなどのオウンドメディアでの情報発信を行い、首都圏や大都市の屋外ビジョンでも関連の公共CMを放映しました。
2023年5月に広島で開催されたG7サミットに際し、アグネス・チャン ユニセフ・アジア親善大使が司会を務める「G7開催記念イベント」の実施や、G7首脳夫人らが参加した「パートナーズ・プログラム」に登壇された歌手AIさんを通じG7に宛てたユニセフのメッセージを届けるなど、積極的な広報を展開しました。
「世界子どもの日」(11月20日)をテーマにしたNHK Eテレの番組制作に参加。ユニセフがロゴの中で訴える「for every child(すべての子どものために)」をテーマにしたNHKとセサミワークショップジャパンとの共同制作番組が6月から放映された他、11月13日~25日に放映された特別番組『スゴEフェス 2023』の製作にも協力しました。
WEBや出版物などを通じた広報
日本の皆さまにユニセフや日本ユニセフ協会の活動を広く知って頂くため、日本ユニセフ協会では様々なツールを用いた広報活動を行っています。
-
出版物
下記は、2023年内に制作・配布した公式刊行物や各種資料の一部です
- 機関誌「ユニセフ・ニュース」(会員・マンスリーサポーター対象 年4回発行)
- ユニセフ子供白書2023「すべての子どもに予防接種を」(日本語版)
- 日本ユニセフ協会年次報告2022(日本語版)
- ユニセフ活動の成果2022(日本語版)
-
ホームページ、ソーシャルメディア、動画
公式ホームページでは、ほぼ平日毎日のペースでニュース記事を掲載。X(旧ツイッター)やFacebook、Instagram、TikTokでは、幅広い年齢層の方にユニセフの活動を知っていただけるよう、現場から届く写真や映像を紹介しました。またPodcasting番組「ラジオ・ユニセフ」(毎週木曜日配信)を通じて、世界の子どもたちが直面している課題とユニセフの支援活動を伝えました。
YouTubeチャンネルでは、ユニセフの公共CMや、ユニセフ本部制作映像の日本語字幕版、イベント等の報告映像など2023年年間で計151本を掲載。年間総再生数は、約1,300万回にのぼりました。
-
ユニセフ視聴覚ライブラリー
日本ユニセフ協会協定地域組織のほか全国14カ所の機関で、展示パネルやDVDを無料(送料のみ利用者負担)で貸し出しています。学習活動やイベントに広く活用されています。
ユニセフハウス展示リニューアル~「子どもの権利」の発信拠点に
当協会1・2階の常設展示(ユニセフハウス)は、2022年10月のリニューアル・オープンから2023年末までに11,707名(子ども7,968名、おとな3,739名)が来館しました。
映像と写真を駆使した新展示は、「世界の子どもと出会う場所」をコンセプトに、“「ちがい」の中の「おなじ」と出会う(Zone1)”、“「7人の子どもたち」と出会う(Zone2)”、“「ユニセフ」と出会う(Zone3)”の3つのゾーンで構成され、研修を受けたボランティアガイドとの対話の中で、子どもの権利を考える機会を提供しています。
10月には、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会主催の「第17回キッズデザイン賞」において、「キッズデザイン協議会会長賞」を受賞。「子どもの権利条約やSDGs を総合的に学ぶ場はまだ少ない。海外の子どもたちがどのような環境でどのような暮らしをしているかを学び、未来の主役である子ども自身が課題意識を持ち、どういう社会をつくっていくべきかを考えるきっかけを与えてくれる」との評価をいただきました。
ユニセフハウスの展示コンテンツをWEBでも体験いただけます。
イベントを通じた広報
世界の子どもたちの状況とユニセフの取り組みをより身近に感じ、知っていただく機会を提供するため、様々な機会を提供しています。
-
現地報告会や講演会、シンポジウム
世界の子どもたちの状況とユニセフの取り組みをより身近に感じ、知っていただく機会を提供するため、また、ユニセフが訴える様々な国際課題や緊急課題を訴える機会として、ユニセフ職員などによる現地報告会や講演会、シンポジウムなどを開催しています。2023年は下記のオンラインイベントを実施しました。
2月11・12日 「全国こどもネットフォーラム2023」
小中高生がおとなと一緒に“賢いネット利用”を考える
(主催:一般社団法人ソーシャルメディア研究会)3月3日 紛争、震災、経済危機下のシリア
幾重の苦しみを背負う子どもたち「忘れないで」
(オンライン記者ブリーフィング)【報告】
- UNICEF東京事務所副代表 根本巳欧
5月10日 子どもたちのウェルビーイングをどう高めるか?
~教育現場での子どもの権利の実践を通じて
(G7 ユニセフ シンポジウム)【第一部:子どものウェルビーイングをどう測るか】
- 文部科学省 里見朋香 大臣官房審議官(総合教育政策局担当)
- ユニセフ・イノチェンティ研究所 グイザー・リーズ
- 京都大学大学院教育学研究科 ジェルミー・ラプリー准教授UNICEF東京事務所代表 ロベルト・べネス
【第二部:子どものウェルビーイングをどう高めるか】
- 兵庫県立大学 竹内和雄教授
- 日本ユニセフ協会 学校事業部 池田礼子
- 埼玉県上尾市立平方北小学校 中島晴美校長
教育現場を通じた広報・啓発活動
-
全学校への「ユニセフ資料」の配付
1956年より継続している学校募金活動は68年目を迎え、外務省、文部科学省、こども家庭庁(厚生労働省より移管)および各都道府県および各市町村教育委員会の協力を得て、「食料難がおびやかす わたしたちの未来」のテーマのもと、「第68回ユニセフ学校募金」春季および秋季資料を、全国約51,600の学校・園(認定こども園を含む幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・中等教育学校・高等学校・特別支援学校・専門学校等)に送付しました。DVDを付属したユニセフ活動の手引きのほか、ポスターや壁新聞、子どもチラシなどの基礎資料のほか、先生方へのセミナー・高校生への「国際協力講座」のご案内、生徒会やPTAでの活動を働きかけるレター、また 秋季には前述の「子どもの権利を大切にする教育(CRE)」普及資料や「子どもの権利条約」を学ぶ子ども向け学習資料を作成し、配布しました。
-
ユニセフ・キャラバン・キャンペーン
関東および東北の12県(訪問順に、茨城・埼玉・栃木・千葉・神奈川・群馬・秋田・青森・山形・福島・宮城・岩手)で実施しました。各県において、知事・教育長とのメッセージ交換、教員対象のユニセフ研修会、学校を訪問しての児童・生徒対象のユニセフ教室を開催しました。
-
学校等への講師派遣
日常的に、学校での児童・生徒対象の「ユニセフ教室」や、先生方を対象とした研修会への講師派遣の依頼に日本ユニセフ協会および全国の協定地域組織が対応しています。引き続きSDGsに関する授業の希望が多数を占めましたが、「子どもの権利条約」に関する依頼も増加傾向にあります。
授業を受けた児童・生徒の数は39,111名、教職員対象のセミナーや研修を受けた先生の数は2,438名となりました。<講師派遣件数>
- 児童・生徒向けユニセフ教室 実施数375件、受講人数39,111名
- 教員対象研修会等 実件数37件、受講人数2,438名
日本ユニセフ協会および協定地域組織双方の実施数の合計
-
ユニセフハウスでのセミナー、講座、研修会の開催
各都道府県及び政令指定都市のユニセフ担当指導主事、人権教育担当指導主事、さらにユニセフが進めるCFCI(子どもにやさしいまちづくり事業)に取り組む行政の担当者や指導主事を対象に、1月20日にユニセフハウスにて「ユニセフ研修会」を開催、全国から47名が参加しましました。会では、アグネス・チャン ユニセフ・アジア親善大使が、これまでに訪問した国々の子どもたちのようすについて講演も行いました。
また、子どもの権利、SDGs、災害時の子どもにやさしい空間などをテーマに、教職員を対象とした全4回の「ユニセフセミナーシリーズ」を実施しました。
小学校高学年~中学生を対象に、unicef Campusに参加する大学生ボランティアをファシリテーターとして、「ユニセフ夏休み講座」を開催しました。 -
スポーツを通じた働きかけ
2017年より「チーム・ユニセフ」のもと日本中学校体育連盟(中体連)、全日本大学サッカー連盟(JUFA)との連携を継続しています。プログラムへの無償の広告掲載や、会場でのユニセフブースの設置などを行いました。JUFAとは「HIKARIプロジェクトONE GOAL ONE COIN」として1ゴールにつき500円(ワンコイン)が連盟から寄付される取り組みも実施しています。
-
ユースとの取り組み
大学生ボランティア組織unicef Campusは、発足から3年を迎え、年間を通じて150~200名が登録する組織に成長しています。
トレーニングを受けた学生が小・中学校の児童・生徒に対し「ユニセフ先生」となってオンライン授業を行う、メンバー交流会や募金活動を実施する、当協会主催の各種イベントや講座でファシリテーター役を担う、全日本大学サッカー連盟(JUFA)と連携して広報ブースを出展するなど、活動の場を広げています。
また、unicef Campusのメンバーを対象に学校事業部でのインターン受け入れ枠を新設、実務を学びながら、unicef Campusの円滑な運営にも携わっています。
国際人材の育成~国際協力研修事業
-
国際協力講座
本講座は、高校生・大学生を対象とした「ユニセフ国際協力講座2023」として刷新、8月7日~9日の3日間の集中講座として開催しました。
各日とも、1.講師の講義、2.グループディスカッション、3.ディスカッションの共有と講師からのフィードバック、Q&A の3要素を組み合わせて実施し、グループディスカッションのファシリテーターには、unicef Campusのメンバーや参加者の大学生が協力しました。高校生が安心して話し合いに参加できるよう、事前に「子どもの安全保護」を含むファシリテーター研修を実施しました。
聴講に加え、講義を受けてどう考えたかを共有し合うことで理解や学びが深まり、さらに発展的な話し合いを通じて将来への強いモチベーションを得たようすがアンケートからもうかがえました。3日間すべてのプログラムに参加し、すべてのアンケートを提出した希望者94名に修了証を発行しました。
-
- 開催日時:8月7日(月)・8日(火)・9日(水)13:30-16:30
- 実施携帯:オンライン(Zoom)
- 参加登録者:合計154名(うち高校生81名、大学生以上73名)
- 各日の講師・テーマ
-
8月7日(月) 参加者:128名
講師: 久木田 純 氏(関西学院大学 教授)
テーマ:わたしたちは21世紀をどのような世界にしたいのか? -
8月8日(火) 参加者:117名
講師: 瀬谷 ルミ子 氏(認定NPO法人REALS理事長)
テーマ: 平和を築く力とは -
8月9日(水) 参加者:122名
講師: 伊藤 杏子 氏(ユニセフ・インドネシア事務所/青少年)
小川 亮子 氏(ユニセフ・アフガニスタン事務所/子どもの保護)
鷺坂 史明 氏(ユニセフ本部/教育)
横手 春子 氏(ユニセフ・ネパール事務所/保健)
テーマ:世界を舞台に働くために必要なことは何だろう?
-
-
ユニセフ現地事務所へのインターン派遣事業(海外インターン)
国際協力人材養成プログラムの一環として、日本人大学院生をインターンとして数カ月ユニセフの現地事務所に派遣する当事業では、2022年度の合格者3名を、スリランカ(社会政策)、タジキスタン(教育)、ネパール(水と衛生)のユニセフ現地事務所に派遣しました(1名は派遣途中で辞退)。タジキスタン事務所派遣の1名が派遣中にユニセフ・ザンビア事務所のUNVに合格しました。
-
国内インターン受け入れ
日本ユニセフ協会において、事務や翻訳などの実務体験を通じて将来の国際協力を担う人材を養成する事業として、学校事業部に6名、広報・アドボカシー推進室に1名の受け入れを行いました。