歴史
子どもにやさしいまちづくり事業は、当初、開発途上国での急速な都市化そして人口増に対処する目的で、始められました。開発途上国の地方部で暮らす人々が、経済的なチャンスを求めて都市部にやってきても、彼らの暮らす場所はなく、仕方なくスラムに定住せざるを得なくなります。こうした人々がどんどん増えスラムの環境はさらに劣化していきます。特に乳幼児は、こうした劣悪な環境の影響を直接に受け、生死にも関わるような状態になります。こうした状況を改善するする目的でこの活動は始められました。衣食住が満たされると私たちの生活は落ち着いたものになっていきます。しかし、3つの条件の内で、住環境に関してはなかなか手が回りませんでした。こうした考え方でこの活動は始まったのです。
この事業が継続されると、先進国の子どもたちの状況が懸念されるようになりました。言うまでもなく、開発途上国の子どもたちと比較すると、彼らの住環境ははるかに優れています。しかし、子どもの成長は住環境だけでは十分ではありません。子どもが一人の人間として扱われ、社会と関われることなしに、私たちの生活環境は持続できないということがはっきりしてきました。こうしたことから、子どもにやさしいまちづくり事業は、今では開発途上国と先進国の両方で展開される活動になってきています。
沿革
1989年11月 | 子どもの権利条約採択 |
1990年9月 | 子どもの権利条約発効/子どものための世界サミット開催 |
1992年 | 子どもを守る市長の会事業がセネガルのダカールで発足 |
1992年 | リオデジャネイロでの地球環境会議で、持続可能な開発の取り組みの一環として、子どもの権利条約の推進が提起された |
1992年 | Roger Hart 博士(ニューヨーク市立大学)が子どもの参画に関する論文を発表 |
1996年 | 第2回国連人間居住会議(ハビタット2)で「子どもにやさしいまち事業」が提唱される。開発途上国での急速な都市化そして人口増に対処する目的で始まった。 |
2000年 | ユニセフ・イノチェンティ研究所に国際事務局を設置 |
2004年 | ユニセフが9つの基本からなる子どもにやさしいまちのコンセプトを発表 |
2013年 | 本事業の主管がユニセフのDivision of Policy and Strategyに移管される |
2021年 | 今では先進国、開発途上国の双方で取り組まれる活動になっている。世界の約40カ国で実施されており、さらに拡大の見込み |