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アルゼンチン:赤ちゃんの命を守るモデル事業をユニセフが推進【2009年7月20日 アルゼンチン・ブエノスアイレス発】
エステラ・ベニテスさんは最近、第一子となる元気な女の子を出産しました。アブリル・デルフィナちゃんと名付けられました。 ブエノスアイレスのボエドと呼ばれる地区で暮らすベニテスさんは、ブエノスアイレスにあるラモン・サルダ病院に導入された新生児と母親の産後ケアの新しいモデル事業の恩恵を受けています。このモデル事業で提供されるサービスは、他の産婦人科施設で提供されているサービスよりも、家族のニーズに配慮した内容になっています。 ベニテスさんの夫も、出産はもちろんのこと、出産までのすべてのプロセスに積極的に参加しました。このモデル事業では、夫婦と赤ちゃんとのつながりを強めることに配慮されています。 「アブリルが生まれてきた時、病院の人がアブリルを私のすぐそばに連れてきてくれたので、私は彼女を抱きしめて、キスすることができたんです。それから、夫にも、アブリルを抱ように勧めてくれました。まだへその緒を切る前だったというのに。」ベニテスさんは話しました。 家族が主人公の出産病院では、お母さん方には母乳育児を、そして、そのために、新しいお母さんにもお父さんにも、一日24時間いつでも生まれてきた赤ちゃんと触れ合えるような環境が整えられています。また、両親以外の家族にも、新たな家族の一員となる赤ちゃんと会えるように、特別な時間が用意されています。家族は、赤ちゃんに会う前に、特に未熟児や健康面での深刻な課題を抱えている場合は、どんな対応をするべきか説明を受けます。 40年間病院に勤務しているミゲル・ラルグイア医師は、このモデル事業の責任者です。 「家族が主人公になる病院のコンセプトは、産婦人科の考え方の根本的な変革です。今、私たちは、病院の中心には医師や保健関係者ではなく、妊産婦や赤ちゃんがいるべきであるということを認識しています。」(ライグイア医師) 無料の宿泊施設
乳児死亡率をさらに低減するため、ラモン・サルダ病院では、早産などのリスクを持って生まれて来た赤ちゃんへの対応に、多くの時間と労力、資金を投じています。 シンシア・ピントさんは、予定日よりも13週早く男の子を出産しました。赤ちゃんは一ヵ月半、保育器の中で過ごし、一時気管感染症を患いましたが、現在、男の子は元気を取り戻しつつあります。 「この状況にうまく順応できました。医師の方々は皆、とても誠実で本当のことを話してくれましたから。」ピントさんはこのように話します。 ピントさんは、病院まで一日以上かかる場所に住んでいましたが、病院は、危険な状態にある子どもたちの母親のために、子どもたちが退院するまで無料で利用できる宿泊施設を病院の近くに設置しています。ピントさんのようなお母さん方は、こちらも無償で提供される食事のほか、ボランティアによる様々な援助も受けることができます。 この施設には、宿泊用の部屋が38室用意されており、母親たちは平均2ヵ月滞在しています。 モデル事業を拡大するためにユニセフは、このモデル事業を、アルゼンチンの他の地域にも広めるべく活動しています。 「このモデル事業は、新生児死亡を効果的に防ぐことが証明された実例でもあります。」 ユニセフのズルマ・オルティス保健事業専門官はこのように話します。「このモデル事業のすべての過程は、特に母親と子どもたちの間の関係、また家族全員と子どもたちとの関係を基盤にして構築されています。こうした活動は、ユニセフが、世界中で実践されることを推進している内容そのものなのです。」 毎年600万人以上の新生児と幼児が命を落としています。しかし、この3分の2は防ぐことができるものです。こうしたモデル事業の推進を支援することは、子どもの生存を守るために、効果的で費用対効果の高い方法なのです。 |