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バングラデシュ:ヒ素汚染の無い飲料水を子どもたちに【2009年6月23日 バングラデシュ発】
ジノドプル村のアベバ・カツムさんは、井戸のポンプを一所懸命押しています。しかし、どんなに押しても水は一滴もでてきません。もうすぐ雨期がやってきます。でも、今のところ、運河にも水は無く、船はぬかるみにはまったままの状態です。 「普段は井戸水を使っています。でも乾期の間は、水を得るのは容易ではありません。」とアベバさんは話します。 乾期の間の飲料水の不足は、村の人々の日々の生活に大きな負担を加えています。しかしながら、水の問題は、その量だけが問題となっているのではありません。井戸水に含まれる高濃度のヒ素が、首都ダッカの東側の地域に暮らす55万人の人々にとって、重大な問題となっているのです。 「ほとんどの井戸水がヒ素に汚染されているので、池の水を使っています。水を沸騰させて、飲料水として使用しているのです。」アベアさんは話します。 ユニセフの支援
バングラデシュの8000以上の村の井戸水の8割は、ヒ素で汚染されています。このため、約2,000万の人々が、ヒ素の脅威に晒されていると推定されています。 ユニセフは、こうした状況に対応するべく、バングラデシュ政府公衆衛生工学局(DPHE)と共に、簡単な仕組みで容易に使用できる池用の砂濾過器(サンドフィルター)を開発しました。 公衆衛生工学局のプロノブ・クマル・ボウミルクさんは、この装置の仕組みを次のように説明してくれました。「簡単な仕組みの手押しポンプで、池からコンクリート製のタンクへ水を汲み上げます。池の水のバクテリアやその他の病原菌は、このタンクの中に作られた砂やレンガの破片を入れた幾つかの『小部屋』を通過する際、除去され、安全な飲料水になるのです。」 ユニセフは、バングラデシュ公衆衛生教育水供給局とともに、イギリス国際開発省などからの資金援助を受けて、こうしたサンドフィルターを、ノビナガールの15の池に設置しました。 最も深刻な影響を受けた地域を最優先にユニセフは、こうした支援を、公衆衛生習慣の普及・教育活動と合わせて実施しています。ユニセフは、今後5年間で、こうしたヒ素汚染の無い飲料水を確保する設備を、2万1,000ヵ所に設置することを目指しています。勿論、ヒ素汚染の影響が最も深刻なコミュニティが、真っ先にこの支援の恩恵を受ける予定です。 「この設備で得られる水がヒ素に汚染されていないと知ってからは、サンドフィルターの設置を手助けするようになりました。」 自分の土地にサンドフィルターを設置することに同意し、近隣の人々にこの安全な水を共有している村人のフォルダド・ウディン・ショウドフリーさんは、こう語ってくれました。 サンドフィルターは、このコミュニティと、この安全な水を求めてこのコミュニティにやってくる近隣の人々に、新しい希望をもたらしました。人々は、乾期でも雨期でも、安全な飲料水を飲めるようになったのです。 |