「参加する」子どもたち
〜イギリス、ブラジル、バングラデシュの事例〜
<ブラジル>
リアノン(16歳)の場合、イギリス、ウェールズ地方
1999年に、アバリストウィス大学で、「バイト・バック(噛みつき返せ)」会議が行われたのをきっかけにして、若者の団体と関係を持つようになりました。その頃は、まだ子どもの権利についてはほとんど知らなかったので、会議に参加した理由は、ただで何かが食べられて、学校を休むことができたから、というのが本音でした。会議に出て初めて、子どもが本来はどのように扱われるべきかがわかったような気がしました。
その後、「ウェールズ運営グループ・イニシアティブのための子どもと若者総会」の代表に就任しました。(この組織は、その後「YoungVoice/Llais
Ifanc(若者の声)」と合併し、その名前を名乗る)2年間は、いろいろなことをしました。私たちなりの憲法を作ったり、いろいろな会議でファシリテーターを務めたり…。昨年7月には、カルディフで開催された国内総会で、「バリアを打ち破れ」という会議も主催しました。
2000年には、新しいプロジェクトに加わらないかと声がかかりました。子どもの権利についての情報キットを作る仕事です。これは「条約12」という団体の仕事でした。「条約12」は、子どもと若者の権利について、一般の人の認知を高めるために政府の保健省から支援金をもらって若者が組織した団体で、ユニセフのイギリス国内委員会がこのキット作成を支援しています。プロジェクトに関わるようになってから、「条約12」の会員にもなりました。
これらの活動に関わると同時に、ユナイテッド・ワールド大学にも入学志願書を出しました。これは、世界中の10の大学が一緒になって、若者の「寛容と文化的な理解」を深めようというものです。イギリスからは30人ほどの若者が入学を許可され、内20人が南ウェールズ地方の太平洋ユナイテッド・ワールドカレッジに通学を許されます。私は、複雑な気持ちで面接試験に臨みました。まず受からないだろうと思っていましたから…。でも、試験では、自分が過去にやってきたこと、「ヴェイル・ユース・フォーラム」、「ヤング・ボイス/Llais
Ifanc(若者の声)」と「条約12」などについても話をすることができ、結果的にイタリアにあるアドリア海ユナイテッド・ワールド・カレッジに奨学生として入学を許可されたのです。今では、70カ国から来ている学生200人と一緒に学んでいます。
ワルキリア(12歳)の場合、ブラジル・マナウス市
ワルキリアは言います。「みんなで自然環境を守らなければ意味がないわ。でないと、地球は消滅してしまう」
コミュニティの住民が水路にゴミを捨てるのを見かねたテレシンハ・デ・ムーラ校の生徒たちは、環境プロジェクトを考えました。そして、教師たちの助けを借りて、クリーンアップ作戦を展開しました。
本当にこの水路をきれいにするには、コミュニティの人びとの考え方を変えなければどうにもならない、と子どもたちは思いました。でも、コミュニティの人びとは子どもたちが何をしようとしているのか、なかなか理解してくれませんでした。「(ゴミを)捨てているのは私たちではなくて、ほかの人たちよ」と言い訳するありさまです。
水路をきれいにしておかなければならない理由を説明するために、生徒たちは、小さな子どもたち向けには人形劇を、10代の若者向けには芝居を見せました。そして、おとなたちを説得するには、グループを作って家から家へとねばり強く訪問して回ったのです。きちんと聞いてくれる人ばかりとは限りませんから、大変でした。
2000年4月19日、ある事件が起きてコミュニティの人たちもハタと気づきました。マナウスで洪水が起きたのです。でも、水路がきれいになっていたので、このコミュニティの被害は最小限に抑えることができたのです。クリーンアップ作戦がいかに大切だったかをコミュニティの人たちはこのとき初めて気づいたのです。
マナウス市長は生徒たちを褒め称え、バナーを持ってマナウスの街を歩き、市民に水路をきれいにする大切さを訴えてくれるようお願いしました。
クリシュナの場合、バングラデシュ・チッタゴン市
クリシュナは今、みんなの前で語りはじめます。このグループはコミュニティに関係があることを話し合うために毎月集まって話し合っているのです。まずは問題を発見し、その解決方法を見出す努力をします。女の子たちの早すぎる結婚についての話題は、いつも集会で持ち上がります。
ここバングラデシュでは、女の子は男の子より早く結婚し、早ければ13歳で結婚します。自分自身の体が成長しきらないうちに、子どもを身ごもり、出産の時に命が危険にさらされることも多いのです。また、早くに結婚した場合、女の子は、家族の面倒を見るために、学校をやめてしまうこともしばしばです。
ここに集う若者たちも自分たちに権利があることは知っていますが、学校で権利について学んだことはありません。そこで自分たちの権利について学ぶために、ダッカに出て研修を受けてきた女の子もいます。「子どもの権利条約」の12条*についても学びました。「今では、ほかの人と討論するばかりでなく、行動に移さなければと思っています。母もおばもそれをあまりいいとは思っていません。近所の家で起きた火事を消しておかなければ、自分にもその火が飛び火して、自分の家が焼けてしまうのです。それを母たちは理解していないのです」
クリシュナがいる村のある家族は、12歳で娘を結婚させようとしました。子どもたちは、その子が悩んでいることを聞きつけ、クリシュナを含め、家族にじか談判しに行ったのです。最初は家族の人たちも聞く耳を持っていませんでした。邪魔をするなと言っていたのです。
ところが、クリシュナたちが、12歳の女の子が双子を産んだものの、子どもは二人とも死産だったという話をするのを聞いて、さすがに両親も二の足を踏み、結婚を遅らせたのでした。
*『子どもの権利条約』第12条<意見を表す権利>
〜子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶんに考慮されなければなりません〜
ロンドン、12月3日発(イギリス国内委員会)
この3つの事例はユニセフのイギリス国内委員会のサイトTheRightsSite<英文のみ>http://www.therightssite.org.uk/に掲載されています。
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