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中央アフリカ共和国:ユニセフの支援でオープンした栄養治療センター【2012年2月1日 中央アフリカ共和国・バンギ発】
バンギ小児病院には、毎月、約100人の栄養不良の子どもたちが入院しています。そのほとんどは、3-4週間の入院治療が必要な状態です。 最近まで、この病院はすし詰め状態でした。3人の子どもたちが、1つのベッドを一緒に使わなくてはならず、中には、混雑した病院の狭い廊下や共用スペース等に追いやられている子どもたちもいました。 こうした状況は、2011年11月5日、集中的な治療やサービスが受けられる栄養治療センターが新しく増設され、一変しました。 新しく改善されたサービス2010年、ユニセフのスタッフらがこの病院を訪問。子どもたちや付き添いの方々、そして、スタッフが直面している状況に衝撃を受け、この治療センターの拡充・修繕の支援を決めました。 拡張された治療センターには、追加のベッドや新しい医療器具が設置され、トイレや台所、食堂、そして診療室も新たに設置されました。入院治療を受ける子どもたちの生存率を高めるため、この施設は、全ての子どもたちにベッドを提供し、付き添いの方々と病院のスタッフがより良いケアを施せるように考えられています。
新治療センターのオープン初日、イブラヒム・ジャポネさん(18歳)と娘のシルビア・マテちゃん(生後3ヵ月)は、混雑した病室から、この新しい建物の病棟に移されました。 コンゴ民主共和国の紛争を逃れ、一家で中央アフリカ共和国に避難してきたシルビアちゃんのお母さんは、逃れて来た直後に、この国で命を落としました。ジャポネさんがシルビアちゃんを連れて病院にやって来た時、彼女の体重はわずか2.3キロしかありませんでした。退院できるためには、少なくとも2.6キロ体重を増やす必要がありました。 「数日前、治療を受けさせるために娘を連れてここにやってきました。ミルクを飲んでくれれば、娘は3週間で良くなり、退院できると思います。」こう話すジャポネさんは、この新しい病棟についても、「今は、前よりもずっと快適に過ごしています。」と話しています。 「発育阻害」(Stunting−スタンティング)の脅威
中央アフリカ共和国では、栄養不良が、深刻な脅威として子どもたちを脅かし続けています。ユニセフの支援で実施された2010年の複数指標クラスター調査(MICS)によると、命を落とす危険もある重度の急性栄養不良に苦しむ中央アフリカ共和国の5歳未満の子どもの割合は、2パーセントに達しています。 国内各地の病院は、毎日、こうした子どもたちへの対応に奮闘しています。しかしながら、首都バンギ郊外にある7つ地方都市では、深刻な栄養不良の子どもたちに治療を施すことができる設備の整った施設が不足しています。 ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、先日、国際的な報道機関への投稿を通じて、栄養不良に関連する疾患の脅威を訴えました。中でも、世界中の子どもたちが直面している「発育阻害」(Stunthing−スタンティング)は、隠れた危機です。発育阻害のまま成長すると、子どもたちの健康と発達に広範囲に及ぶ影響を及ぼし、感染症にも罹患しやすくなり、また、子どもたちが持っている可能性を最大限発揮する機会を妨げる恐れもあります。 2006年の複数指標クラスター調査によると、発育阻害に苦しむ中央アフリカ共和国の5歳未満児の割合は、38-43パーセントに及んでいます。 「およそ10人中5人の子どもたちが発育阻害であるか、慢性的な栄養不良に苦しんでいます。」「こうした状態は、子どもたちの認知的な発達や学習能力を大きく阻害し、成人となってからの生産性を著しく脅します。残念ながら、この種類の栄養不良は治療が難しく、5歳になってしまうと、その影響からの回復は難しくなるのです。」ユニセフ・バンギ事務所のエリザベス・ザノウ栄養担当官はこう話しました。 ユニセフは、全ての深刻な栄養不良に苦しむ子どもたちが十分なケアを受けることができるように、設備の整っている施設が無い地域の治療センターを改善するために活動しています。また、子どもたちの長期的な健康の維持・向上に資する微量栄養素の提供などの支援も行っています。 「栄養不良の治療や予防のための活動に必要な資金を集めることは、容易なことではありません。しかし、微量栄養素の補給や妊婦の栄養状態の改善、幼い子どもたちの食事習慣の改善は、あらゆる子どもの発達において重要な影響を与えることが分かっているのです。」(ザノウ栄養担当官) |