|
|
コンゴ民主共和国:ポリオキャンペーン、予防接種を拒否する人々との対話【2012年6月27日 コンゴ民主共和発】
世界の多くの国と地域で根絶されているポリオ(小児麻痺)。しかしながら、コンゴ民主共和国では、2006年、再びポリオが流行し、現在も悲劇が続いています。2010年から200人近くが感染しました。 ユニセフ、世界保健機関(WHO)、パートナー団体の支援を受けて、コンゴ民主共和国は、予防接種キャンペーンと公衆衛生プログラムを通じた緊急行動計画をスタートしました。 しかしながら、2011年、全国各地でポリオの予防接種を実施してきたにもかかわらず、野生型ポリオウイルスはいまだに脅威となり続けています。これは、親や保護者が、子どもたちに予防接種を受けさせることを拒み続けていることが一因です。多くの人々が、ワクチンの副作用についてのうわさを懸念したり、医療従事者に対する不信感があり、一部の地域では、親や保護者が、宗教的な信念から、子どもたちに予防接種を受けさせることを拒否しているのです。 宗教的な問題
コンゴ民主共和国の多くの人々が、キリスト教を信仰しています。しかし、その一方で、いまだに伝統的な宗教に従う人々も多く、多数のグループが、キリスト教の理念と伝統的な信仰を融合させています。こうしたグループの中には、予防接種を強く拒否している場合もあるのです。 こうした予防接種に対する宗教的な立場は、もっとも支援の届き難い農村部のニュンズで、特によく知られています。ニュンズ近郊のムクワカに暮らす宗教指導者のマルコ・キアブタさんは、宗派の仲間が近代の医療ケアを受けることに大変消極的です。 「健康上の問題があるときには、まず何よりも先に、病気を克服するための祈祷を行う村の男たちを訪ねなければなりません」キアブタさんはこう話し、肌身離さず持ち歩いている聖書にふれながら、彼の立場を説明しました。祈祷によって状態が回復しない場合には、医師からの支援を受けることも許されていますが、特定の治療を受けに行く人は多くありません。 「私たちは、自分たちに理解できない病気の治療を受けることには応じられません」(キアブタさん) 予防接種の拒否を終わらせるためにこうした予防接種の拒否は、ニュンズでもほんの一握りの人々に過ぎないと、ユニセフのアブデッラーマネ・ボカル予防接種担当官は話しました。しかしながら、ポリオウイルスがコミュニティに拡散し、脅威となるには、それで十分なのです。 農村地域で活動している地域保健部長のアイザック・ムパムブ・マランダ医師は、人々は、ポリオは悪霊によるものだと考えている場合が多いと指摘。しかしながら、人々とのコミュニケーションと教育によって、状況を大きく変えることができます。 予防接種を拒否しているグループの代表やその地域の人々と心を通わせることによって、経口ポリオワクチンについての消極的なイメージを払拭することができるのです。拒否しているグループを見つけ出し、その人たちとの対話を深め、予防接種や命を守る保健ケアについての考え方を変えるように促しています。 マランダ医師が担当しているバス・コンゴ州では、2011年初めには4グループが予防接種を拒否していましたが、予防接種に対するコミュニケーションを重視した集中的な活動によって、現在、ポリオの予防接種を拒否しているグループは、1グループとなりました。 |