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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2004年11月9日信濃毎日新聞掲載>

モスクで父親学級 きずな深め
<ヨルダン>


モスクでよりよい子育てを話しあう父親学級の様子 「子どもには良い名前をつけるのは重要なことだ」「最善の医療ケアを子どもに提供しなくてはならない」「家族はお互いを尊重すべきだ」ヨルダンのモスクで行われている父親学級では、グループディスカションでお父さんたちがさまざまな意見交換をしています。 子どもと一緒に来ている人もいます。そして子どもの権利、思春期に必要なこと、タバコが健康に与えるダメージなどを、世代を超えて一緒に話し合っているのです。

 ヨルダンでは25%の子どもたちが幼稚園へ通いますが、残りの75%は母親と家で過ごしています。既婚女性の90%が専業主婦のため、母親と小さい子どもは常に家で過ごすという光景がよく見うけられます。一方、父親は家にいないことが多く、育児も母親ほど積極的に参加できていない傾向があります。

 では父親はどこにいるのでしょうか? 平日は家族のために働いていますが、週末になるとたいがいの男性がモスクにお祈りへ行きます。ユニセフは、そのモスクを利用することこそが、父親の育児参加への突破口となると確信したのです。そこでイスラム教の団体やNGOに積極的に働きかけ、モスクで父親教室を開くという「子育て改善プロジェクト」を立ち上げました。最初は参加を嫌がった団体もありましたが、いまでは16団体、4万人の両親が参加し、多大な効果をあげています。

 「私がこの父親学級に参加したのは、子どもと衛生についてもっと勉強したかったからです」。アブ・カレドさん(63)は7人の子どもの父親で、3ヶ月前から父親学級に通っています。それに参加して以来、彼は妻と子育てについて真剣に話し合うようになりました。  

 以前までは考えられなかったことです。

 彼の子どもたちの日常生活も変わりました。以前は子どもたちが何をして過ごしていようともまるで無頓着な父親でしたが、今は子どもたちが学校で何を学んでいるのかを知りたがり、勉強まで手伝ってくれるようになったのです。

 ユニセフの「子育て改善プロジェクト」は、子育てに一番必要とされる家族のきずなを深めることに成功したのです。このプロジェクトは今も広がり続け、地域社会にいろいろな成果をもたらしています。

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