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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

キルギス:ポリオから子どもの命を守る予防接種キャンペーン

【2010年7月27日 キルギス発】

© UNICEF/2010/Bayalinova
子どもに経口ポリオワクチンを投与する保健員。キルギスではポリオの発症を防ぐために全国で予防接種キャンペーンを実施している。

今年初め、隣国タジキスタンでポリオが発生し、国境を接するキルギスタン南部の国境沿いに住む子どもたちに影響を及ぼさないかと懸念されています。6月中旬に起きた民族衝突をきっかけに、地域の人々は子どもたちの命を守るための予防接種キャンペーンに一緒になって協力しています。

多民族が暮らすジャラル・アバドにあるトイチェベック・チェック村では、地域の長が予防接種キャンペーンを呼びかけてまわっています。村の保健委員会の長のマリップ・タシュラノブさんは、メンバーと一緒にコミュニティ内の各家庭を訪問し、子どもたちに、いつ、どこで予防接種を受けさせられるのか伝えてまわっています。

保健委員会のメンバーは、キャンペーンに積極的に参加し、村にいる母親に自分の子どもを定期的な予防接種を受けさせるように呼びかけているムラ・エゲシュ・マカマダリ氏の協力を得て、村のモスクにある一室で話し合いを行っています。

子どもの健康と和平を広げる活動
© UNICEF/2010/Moltaeva
トイチェベック・チェック村保健委員会の長マリップ・タシュラノブさんと、孫のヤシュミナちゃん(4歳)。ヤシュミナちゃんも、一回目のキャンペーンでポリオの予防接種を受けました。

ムラさんもタシュラノブさんも、500人以上の村人を知っていますが、村の子どもたちは特に大切な存在です。「残念なことに、我々の村には子どもがたくさんいないのです。」とタシュラノブさんは言います。「私の家族も8人から10人の子どもがいましたが、今は多くても2人です。」

予防接種キャンペーンの初日、タシュラノブさんは2人の孫達を連れて隣村キズライの医療センターに行き、孫達に予防接種を受けさせました。ムラさんの孫はロシアにいますが、ムラさんもキャンペーン初日に予防接種を行っている医療センターを訪れました。

2人は、この予防接種キャンペーンが、異なる民族同士が協力するきっかけとなり、和平に繋がると信じています。「子どもにポリオワクチンを受けさせるこの活動は、また、多民族国家のキルギスで、再び民族間の友情を取り戻す機会になります。子どもが私たちを一つにしてくれるのです。」とタシュラノブさんは話しました。

二度に渡る予防接種キャンペーン
© UNICEF/2010/Moltaeva
キルギスタン・オシ地区エルキン村のコミュニティ・リーダーで保健員のカラキュズ・ボトヤロバさん。子どもを予防接種を提供している場所に連れていくように、各家庭を周って案内しています。

今年春に、タジキスタンで13年ぶりにポリオの発生が報告されたことから、タジキスタンやウズベキスタンに続いて、キルギスで5歳未満の子どもを対象に、二回目の予防接種キャンペーンが実施されることになりました。第一回目のキャンペーンは2010年7月19日〜23日に実施され、第二回目のキャンペーンは同じく2010年8月23日〜27日にかけて行われる予定です。

キルギスで行われている、このポリオ予防接種キャンペーンは、オシとジャラル・アバドの紛争の被害を受けた地域で、命を救うための保健サービスへのアクセスを回復する最初の機会となっています。

ユニセフは、WHO(世界保健機関)や赤新月社、USAID(米国国際開発庁)等の国際機関とのパートナーシップのもと、キルギス保健省が実施しているポリオワクチンの調達、保健員やコミュニティ・ボランティアの訓練、予防接種キャンペーンに関する資料作成に協力しています。また、キルギス保健省は、人里離れた山岳地帯に住む子どもたちが等しく予防接種が受けられるように移動式医療チームを派遣しています。もともと山岳地帯に暮らしている子どもたちはもとより、夏の期間親戚の家を訪ねている子どもたちや6月の民族衝突の影響を受けて逃れてきた多くの子どもたちが予防接種を受けることができます。

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