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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

人身売買の標的 消えない傷
<ラオス>

<2006年5月23日、信濃毎日新聞掲載分>

© UNICEF/Jim Holmes
人身売買の被害にあったが、保護され、ラオスの自宅に戻った女の子

ラオスは、中国、ミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジアと国境を接する内陸国で、17県のうち16県が隣国と接しています。ラオスの社会的・経済的指数は隣国と比べ随分と低い数値を示しています。メコン川を挟んで長い国境を共有しているタイとの間には、人の往来、交流も非常に盛んで、国際結婚が見受けられ、一方では不正な物のやりとりが行われていると言われています。しかし、そのすべてを把握し、パトロールすることは不可能なのが実情です。

ラオスでは、閉鎖的な自給経済から市場経済へ移行する過程で、近隣諸国との関係が深まる一方、今まで直面しなかった多くの問題にさらされることになりました。

人口の約50%を18歳以下の若年層が占める同国では、隣国と比べ経済状態が良くないことから、子どもたちの人身売買(特に女の子)が深刻化しています。被害に遭った数千にものぼる女の子は、決して消えることのない精神的ダメージを負い、運良く保護されたとしても、その後もトラウマ(心的外傷)に悩まされ続けます。

被害者の多くは、もっと稼げる仕事を紹介するから、とそそのかされ、家や故郷を離れた人たちです。実際、とりわけ遠隔地の村では十分な職も、高等教育が受けられる学校もなく、若者を村にとどまらせることが難しいのが実情です。そして人身売買に対する認識の甘さから、そのターゲットになりやすいのです。身近な知り合いや、信頼を寄せる身内が実は人身売買仲介者だったというケースもあります。

ユニセフが支援した国内調査の結果、人身売買への早急な対策が必要であることが浮き彫りになりました。特に12歳から18歳の女の子の被害が深刻で、その多くが家事、工場労働をさせられ、搾取される被害に遭っています。

ユニセフは、政府や諸団体と協力しながら、広報活動を広く行い、特にターゲットになりやすい女の子向けに定期的に集会を開き、被害を未然に防ぐ活動をしています。

一方で、残念ながら被害に遭ってしまった子どもたちの保護施設の設立に携わり、心のケアを行うカウンセラーの育成や、遠隔地に住む被害者支援を目的とした全国規模のネットワーク構築を進めています。

以上のように、ユニセフは、人身売買やその他の搾取を対象に、被害を受けやすく、潜在的な危険性を抱える子どもたちを保護する環境整備に努めています。

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