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レソト:世界的経済不況に脅かされる子どもたちの命【2011年11月16日 レソト・マセル発】 世界的規模の深刻な経済危機は、レソトの山岳地帯に位置するマチッセト・ントラレさんの暮らす穀倉地帯にまで及んでいます。25キロ入りの袋に半分ほどのトウモロコシとキャベツ一玉、ほとんど底を突きかけている料理用油の瓶が、今、彼女の家にある全てです。ントラレさんと3人の孫は、今後3週間、僅かに残されたこの食糧だけで過ごさなければなりません。 基本的なニーズを満たすことさえ難しい状況
75歳のントラレさん。高齢で畑仕事はできず、近くのスーパーマーケットで食糧を買っています。彼女の2人の子どもたちは数年前に亡くなり、ントラレさんが孫たちの面倒を見ることになりました。唯一残った娘も職を失ったばかりで、親を亡くしたこの子どもたちの世話をすることができないのです。 「食べものの値段が、高過ぎます」と、ントラレさんは話します。「助成金と毎月政府から支払われる高齢者への給付金を合わせても、孫たちにまともな食事を与えることができません。」 世界的な経済危機による厳しい影響と、国中に多くの患者を抱えるHIV/エイズ対策に関連する費用が、レソトの人々に暗い影を落としています。最近発表された子どもの貧困に関する研究結果によると、貧困状態にある子どもたちは、全体の52パーセントにも上ります。 悪化する子どもの貧困
多くの近隣諸国と同様、レソトは、経済的な困難と増大する貧困の問題に苦しんでいます。多様性に欠くレソトの国内経済は、海外市場への依存度が高く、状況をさらに悪化させています。こうした背景が、今のような世界的な経済危機に対し、レソトをより一層脆弱な立場に置いているのです。南アフリカの国の中に位置するレソトの人口の43パーセントは、国際的な貧困ラインである1日1.25米ドル未満で暮らしています。 経済危機に見舞われる一方、人口が推定200万人のレソトでは、HIV感染率が国民の23パーセント、世界第三位の高率となっています。こうした問題に加え、飢えと貧困、そして悪化する経済状況も重なって、子どもたちを守る従来社会が持っていたセーフティ・ネット(安全網)は崩壊しつつあります。多くの子どもたちが、ほとんど、あるいは全く、おとなからの保護を受ける状況にない中で、わずかな食事と粗末な住まいで、衛生施設(トイレ)をはじめ、最低限の生活を送る上で必要な社会サービスも受けられない状況に置かれているのです。 こうした状況の中、ユニセフは、欧州連合からの支援を受け、多くの人々の生活に変化を与えています。低下する世帯収入を援助するため、現金給付の支援を実施。こうした助成金は、ントラレさんの暮らすレソトの山岳地帯でも配布されています。しかし、この支援は十分なものではありません。 いたちごっこ弱い立場に置かれている子どもの数が増加しているため、こうした支援が、現地のニーズの拡大に追いつかない状況です。例えばグラニー・ントラレさんが受け取っている360LSEも、食料と燃料価格の高騰によって、すぐになくなってしまいます。 ユニセフ・レソト事務所のアハメド・メーガン代表は、レソトの子どもたちへの支援を国際社会に訴えています。「レソトの子どもたちへの支援の拡大は、急務です。」「すぐにこうした子どもたちへの支援を行わなければ、より多くの子どもたちが貧困に直面し続けることになるだけでなく、栄養状態が悪化し、ますます多くの子どもたちが、虐待や搾取にさらされることになるのです。」
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