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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

女子教育にイノベーションを
移動式教室で学ぶ子どもたち

【2012年11月4日 モンゴル、2012年12月17日 パキスタン発】

女の子への教育を実現するため、ユニセフは、世界中に移動式教室を設置しています。それは、たとえ極限な環境下であっても、例外ではありません。

モンゴル:遊牧民族の女の子に教育を

© UNICEF Mongolia/2012/Brown
ユニセフが支援する移動式幼稚園で、本を読む6歳のエルカ。両親が家族のために働いている間、子どもたちはここで遊んだり、学んだりして、友達と一緒に過ごします。

6歳のエルカは、モンゴルの人里離れたフブスグル県に暮らす半遊牧民の家族の一員です。この孤立した地域では、冬は特に日中の時間が短く、気温が急激に低下し、厚い雪に覆われるため、人々は厳しい環境で暮らしています。

「幼稚園にくるのが好きなの。ひよこの詩と、花丸をもらう歌が大好き。きのう、私の書いた絵、花丸をもらったの」とエルカがいいます。

これはエルカにとっては、大きな成長です。生後4ヶ月のときにポリオを患ったエルカの右腕と左脚には障がいが残っており、コミュニケーションをとることも困難です。実の母親に捨てられたエルカは、毎日幼稚園まで送り迎えをしてくれる今の両親に、養子として引き取られました。養父母にとってエルカの成長はうれしい限りです。「エルカは歌やダンス、遊ぶことを覚えました。彼女は私に『お父さん、朝は私を幼稚園につれてって。でも午後のお迎えを忘れないでね』と言うんですよ」とエルカの養父は話します。

移動式教室はユニセフが提唱する「子どもに優しい基準」を満たしており、安全で安心でき、誰もが受け入れられる学習環境を提供しています。そこで子どもたちはアクティブラーニング(能動的な学習)方法論を通して、数ある必要不可欠な知識や能力のうちでも特に、他者への尊敬、我慢、民主主義を学びます。

パキスタン:緊急事態下や僻地で暮らす女の子に希望ある教育を

© UNICEF Pakistan/2007/Bisin
移行式学校構造(TSS)の小学校 (この写真は2007年に建てられたもの)

パキスタンのラージャンプル地区では、ユニセフによって建てられた「移行式学校構造(TSS)」が地域住民の支持をえて、より多くの女の子が学校に通えるようになっています。この構造は、2010年にパキスタンで起きた洪水が、すでに限界に達していた教育システムを麻痺させたのを機に建てられました。それから2年後、パキスタンの多くの地域を再び洪水が襲ったとき、この移行式学校は、被害を受けた地域の中で唯一、洪水に飲み込まれませんでした。14才のファーハットは、バスティポリ村の移行式学校に通う、一番年上の生徒です。彼女はクラスで一番優秀な生徒の一人であるだけでなく、女の子への教育を訴える力強い提唱者でもあります。ファーハットは、期間限定の移行式学校の授業に出るよう、彼女の友達全員に呼びかけました。「女の子は教育を受けるべきであることを、年配の人々が気づきました。ソーシャルモービライザーと呼ばれる専門家や、若者グループのメンバーのおかげで、この学校に通う女の子の数が増えました」とファーハットは語ります。

© UNICEF Pakistan/2012/Suhail
ファーハット(中央)は、友達と同級生と一緒に、楽しい学校生活を送っています。

ユニセフのグルナズ・カーン教育担当官は、この構造は地域住民から大きな支援を受けており、多くの移行式学校は村民たちから寄付された土地に建てられている、と説明します。「バスティポリ村の人々が、子どもたち、特に女の子に教育を受けさせたい、という熱意と意思は、見習うべきものです。このような人里離れた僻地で恵まれない環境下で暮らす人々でさえも、この時代の急務である『子どもへの教育』の必要性を認識している、ということを示すひとつの指標なのです」とカーン氏は語ります。

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