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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2003年8月20日掲載≫

身体に障害があっても元気に学校へ!
<ニジェール>

お料理中のハジャラ

  ニジェールの首都ニアメ。とある日曜日の静かな午後。5歳になるハジャラは新しい野菜スープを試作中です。それはもう一生懸命で、回りの雑音も気になりません。

 2部屋しかないアパートが何軒か軒を連ねる一角。建物に取り囲まれた住人用の裏庭は土と砂、石ころだらけ。おまけにみんながいろいろな物を置いたり捨てたりするので、紙ゴミが散らかり、靴が転がっていたり、米の空き袋やひょうたんのお椀が落ちていたりします。

 ハジャラのお母さん、スーマイラ・アブドゥライェさんは娘を遠くから見守っています。ハジャラもさすがに家族の食事まではまだ作れませんが、ほかの女の子と同様、その基礎は身に付けつつあります。

 でも、ハジャラにとって、これはほんのおままごと。彼女が本当にやりたいのは「教えること」、つまり先生になることです。アブドゥライェさんは言います。「彼女に聞いたんですよ。大きくなったら看護婦になる?って。病人を助けるためにね。そしたら、彼女は先生になりたいって言っていたわ」

お勉強中のハジャラ

 平日、ハジャラは非政府組織‘Action pour Femmes et Enfants Handicapes =AFEHA(障害のある子どもや女性のための活動)’が運営する学校に通っています。彼女はクラスでも一番年下ですが、もう「読む」勉強も始めました。

 AFEHAがこの学校を開いたのは2002年10月。ユニセフは、障害のある子どもにも教育の機会を提供しようとこの学校を支援しています。アシスタント・コーディネーターのニエンゲ・ウチャ・ニエンゲは言います。「障害のある子の親は、子どもを物乞いさせるために路上に立たせたり、家に閉じ込めておきます。でも、私たちは、こうした子どもたちにも基礎教育を受ける機会を提供したいのです」

笑顔のハジャラと先生

 現在、学校には2クラスあります。あと2クラス増設する計画も持ち上がっています。年少組のクラスでは、5歳から12歳までの22人の子どもたちがテーブルを囲み、読み書き計算を学んでいます。

 ユニセフはAFEHAの子どもたちに教材を提供しています。小さな黒板にチョーク、ノートとエンピツです。1年間に必要な教材を提供しているのです。それでもユニセフが出す費用はひとり当たり7米ドルですみます。

 ハジャラは学校が大好き。でも…学校に行くまでが実は大変なのです。日によってはお母さんにおぶってもらわないと行けません。ハジャラの左の脚は右の脚より10センチほど短く、長い道のりがとても大変で、時にはすごく痛んで歩けなくなるのです。

 お母さんにもお父さんにも定職はありません。今はどうにか家計をやりくりしている状態です。矯正用の靴をハジャラのために買うのさえ大変です。

 それでも教育はこの子を助ける道だ、とお母さんは考えています。アブドゥライェさんは字を読むことができません。だからこそハジャラには読み書きを学んでほしいのです。「食べるのに困らない程度に生活できるようになって欲しいのです」と彼女は言います。

 ハジャラが学校に通い出して7カ月。母親は娘の成長ぶりに目を見張っています。教材が無料なのは家族にとっては大助かりです。「公立は費用がかかりすぎます」公立学校の生徒は自分たちで調達しないといけないのです。

 ハジャラの1日は学校だけでは終わりません。家に帰ると、近所の子どもたちを集めてアルファベットを教えます。拾ってきた板に黒いインクを塗り、黒板に仕立てています。黒板の角はそんなわけで刺だらけです。ハジャラは、チョークがなくなるとお母さんに少しだけお金をねだります。新しいチョークを買うためです。ですからとても大切に使います。

 「いつかは学校の先生になるの」と彼女は言います。「子どもたちに読み方、書き方を教えたいから」

 ハジャラにとって、その夢の実現はすぐ目の前にありそうです。

2003年8月1日 ニアメ(ユニセフ)

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