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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2003年7月23日掲載>

フォトレポート:農村の教育事情
<パキスタン>


 パキスタンでは、人口1億4500万人の3分の2が農村部に住み、全人口のおよそ半分が子どもです(2003年の統計)。過去10年の間に、乳児死亡率も幼児死亡率も減りましたが、貧困率は33%で、以前より増加しています。子どもの3分の1は栄養不良、定期予防接種を受けている子どもの数も半分にとどまっています。小学校に通っている子どもの数も、就学年齢児の半数にとどまり、せっかく就学しても、その半数は中途退学している状態です。子どもたち(特に女の子)が学校に行かない理由は、児童労働(家庭労働と農業で顕著)、文化的慣習、小学校までの距離の遠さ、学校での衛生施設の未整備(女子トイレがないなど)、安全確保の難しさ、教師ひとりあたりの生徒の数が多すぎる、教師の欠勤、ジェンダーによる差別などが挙げられます。

農村が広がるバロキスタン州の4つの地区では、1999年以来、これらの課題の解決に向けて努力をしてきました。、ユニセフとオーストラリア国際開発庁(AusAID)が支援し、コミュニティが中心となって実施している政府プログラムにより、3万人の女の子を小学校に就学させることができ、在籍率も84%に保つことができました。今まで学校がなかったところにも徒歩通学が可能な範囲に80の学校が建設されました。そのひとつが、干ばつに見舞われたシビ地区にあるマリアバッド村にできた小学校です。ここに11歳になるナズ・ビビ(11人兄弟姉妹のひとり)が通っています。彼女はほかの女の子154人と一緒に学んでいます。ナズのお父さん、ジャラル・カーンは、男女両方の教育を促進する中心的な役割を担いました。「私自身は、教育を受けておらず、妻と一緒に畑仕事をするしか生きる術がありません。でも娘たちは先生になったりしてお金を稼ぐことができるようになるはずです」と言います。土地の一部を寄進し、ジャラル・カーンはコミュニティの人たちと一緒に、学校を建設しました。そして、妻と、地域の長老とそのほかの親たちと一緒に、教育委員会を作り、学校運営を担い、安全な飲み水や基礎的な教材を提供できるようにしたり、コミュニティの人たちを促して、女の子たちを学校に通わせるべきだ、と説得して回りました。ナズの母親は言います。「教育を受けられるようになったから、娘たちは飢えなくてすむわ」

ユニセフは『2005年までに25カ国を』キャンペーンを推進していますが、これは南アジアやサハラ以南のアフリカ25カ国を中心に、2005年までに、初等教育と中等教育でジェンダー面での平等を実現しようというイニシアティブで、女の子を積極的に学校に就学させようとするものです。

 

母親ヌア・ビビと父親ジャラル・カーンと一緒に、笑顔の11歳のナズ・ビビ(中央)。バロキスタンのシビ地区にあるマリアバッド村の家の外にて。ナズの母親は、村の教育委員長。

©UNICEF/HQ03-0278/Asad zaidi

質問に答えるために手を挙げるナズ・ビビ。バロキスタンのシビ地区にあるマリアバッド村の小学校2年のクラスにて。

©UNICEF/HQ03-0280/Asad zaidi

 

ナズ・ビビの暗唱を聞く女性教師ナジマ・イスマイル。バロキスタンのシビ地区にあるマリアバッド村の小学校2年のクラスにて。ナズは先生になりたいと思っている。

©UNICEF/HQ03-0279/Asad zaidi

 

コミュニティにできた水道でお姉さんと一緒にお皿を洗うナズ・ビビ。この水道は父親がコミュニティのために設置したもの。バロキスタンのシビ地区にあるマリアバッド村にて。

©UNICEF/HQ03-0281/Asad zaidi

 

家族と一緒に記念写真におさまる11歳のナズ・ビビ。バロキスタンのシビ地区にあるマリアバッド村の家の外にて。

©UNICEF/HQ03-0282/Asad zaidi

 

学年が違う子どもたちは、1教室しかないので、違った場所に座り、別々の授業を受ける。バロキスタンのシビ地区にあるマリアバッド村の小学校にて。女の子用の小学校だが、男の子も通っている。

©UNICEF/HQ03-0283/Asad zaidi

   

バロキスタンのシビ地区にあるマリアバッド村の小学校の外で笑顔で写真におさまるナズ・ビビ。

©UNICEF/HQ03-0284/Asad zaidi

   

ユニセフ本部発、2003年7月17日

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