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パプアニューギニア:「母親たちのためにエイズと闘おう」キャンペーン【2009年11月12日 パプアニューギニア発】
ある日の昼下がり、ポートモレスビー総合病院の小児科に勤める婦長のベティー・パンダムさんと、ベロニカ・ドラモイさんは、病院に届けられた色鮮やかな手作りの毛布80枚に喜んでいました。 ユニセフのスタッフによって届けられたこの毛布は、小児科病棟に入院する子どものベッドに置かれ、具合が悪くてその場にいることができなかった子どもたちの親にも手渡されました。届いた毛布のひとつひとつが、ニュージーランドに住む母親たちが独自のデザインで手作りした一点ものです。 この毛布の贈り物は、ニュージーランドのユニセフ国内委員会が、HIV母子感染予防についての啓発活動として実施した「Unite for Mothers(母親たちのためにエイズと闘おう)」キャンペーンの一環として行われました。 差別・偏見との闘いベティーさんとベロニカさんは、20年以上病院に勤務していますが、二人とも大きな困難に直面していました。そのひとつはHIV/エイズに対する差別や偏見との闘いです。 「文化的な背景が原因となって、ここでは女性はより弱い立場に立たされています」と、ベティーさんは話します。「HIV陽性だと判明したら、家族から排除されることもあるのです。」 人々の態度を変えるための支援
「HIV陽性であることが判明した患者さんたちの子どもや配偶者が、HIV検査を受けないでいるのを見るのは、とても辛いことです」と、ベティーさんは話します。 こうした差別や偏見の蔓延に歯止めをかけないままでいると、国全体の公衆衛生に非常に不利益なものとなります。パプアニューギニアも例外ではありません。パプアニューギニアはいまや太平洋諸国の中で、最もHIV感染が高い地域なのです。 こうした状況に対応するため、ユニセフは、パプアニューギニアの保健省と共に、人々の態度を変えるための活動を行っています。この病気の蔓延を食い止めるため、現在ポートモレスビー総合病院では、HIV/エイズに関連する問題を扱う4人のカウンセラーが勤務しています。 赤ちゃんのための毛布また、ポートモレスビー総合病院では母子の健康のために、予防接種プログラムを実施したり、子どもが生まれたばかりの母親に、少なくとも生後6ヵ月間の完全母乳育児の推進や幼い子どもたちに与える食事や栄養について指導をしています。 「Unite for Mothers(母親たちのためにエイズと闘おう)」キャンペーンでは、HIV/エイズのほかにも、肺炎、脳マラリア、結核、髄膜炎などの病気に苦しむ子どもたちにも毛布が贈られました。ユニセフ・パプアニューギニア事務所代表のバードランド・デムーラン博士は、自ら子どもたちへ毛布を手渡し、次のように述べました。「私達は、妊産婦死亡率を低減し、HIV母子感染を予防するために活動しています。これは、まず親の間での感染を防ぎ、そして母子感染を防ぐということから始めなければならない、ということです。」 |