<1997年7月15日 信濃毎日新聞掲載>
身を守る方法 みんなで考え
<フィリピン>
世界に1億人以上いるといわれるストリートチルドレン。フィリピンの首都のマニラやその北西部にあるオロンガポ市も例外ではありません。街を歩くと、道端で花や新聞を売ったりして日銭を稼ぐ子どもたちに出会います。帰る家もなく、学校に行かずに路上で暮らす子どもたち。犯罪に巻き込まれる危険もつきまといます。そしてなによりも、保健の基礎知識やコミュニケーションのとり方など、学校や家庭で習うべき日常生活上の技術や知識を身につける機会を、子どもたちは失っているのです。
フィリピンのユニセフでは、このような学校に通っていない、路上の子どもや若者のために自分自身の身を守っていく方法などを伝える取り組みを進めています。ストリートチルドレンからリーダーを選び、人間関係の作り方、エイズや薬物、暴力などから身を守る方法などの研修を実施。研修を受けたリーダーたちは他の子どもたちへこの知識を伝えていくのです。この「子どもたちから子どもたちへ」メッセージを伝えていくことが、ストリートチルドレンに対する活動の最も大きな特徴の一つです。
ストリートチルドレン自身も、公園や公共の遊び場や施設、ショッピングモールなどに集まり、話し合いを続けてきました。こうした話し合いを続けることで、子どもたちのエイズや薬物、暴力に対する意識はしだいに高まってきています。オロンガポ市では、市全体のストリートチルドレンの会議を開催。子どもたち自身が保健サービスや教育機会、法的保護について話し合いました。
子どもたちが参加し、自分たちのことを考え、その声を社会に反映させていくこと。ユニセフはその手助けをしています。
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