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ソマリア:子ども保健の日予防接種キャンペーン実施
【2010年2月9日 ソマリア・モガディシュ発】 ソマリアで続く武力紛争によって、数十万人の人々が避難を余儀なくされています。こうした状況の中、ソマリアの首都モガディシュの16地区全域で、子どもと女性たちを対象とした大規模な子ども保健の日キャンペーンが実施されました。 ユニセフは、WHO(世界保健機関)と共にこのキャンペーンを支援しました。このキャンペーンは、ソマリアの5歳未満の全ての子どもたちと、出産年齢の女性たちの命を守る保健サービスを提供し、栄養に関する支援を実施する全国的な取り組みの一環です。 非常に重要な支援
モガディシュでこの非常に重要なキャンペーンを実施するために、ユニセフとWHOは、地元当局、コミュニティを基盤とした組織と協力して活動しました。コミュニティレベルでサービスを届けるために3,600人以上の保健員が研修を受けました。 このキャンペーンによって、28万8,000人以上の子どもたちが、ポリオ、はしか、ジフテリア、百日咳、破傷風の予防接種を受けました。同時に、ビタミンA補給剤、害虫駆除剤の提供や、子どもたちの栄養状態の確認も実施されています。また、出産年齢にある29万6000人の女性たちが破傷風の予防接種を受けました。 さらに、子どもの保健支援の一環として、下痢による脱水症状を緩和する経口補水塩(ORS)と水浄化剤も支援されました。 厳しい生活環境
こうしたアウトリーチ型の支援は、厳しい生活環境に直面し、基礎的なサービスでさえ受けていないモガディシュの子どもたちとその家族にとって、特に重要です。モガディシュでは武力紛争が継続しており、人道支援活動の場も限られています。 「保健施設も、水も、住む場所もありません。」このキャンペーンのために設置された臨時保健所に子どもを連れてきたハリマ・エルミさんはこう話しました。8人の子どもの母親であるエルミさんは、病院も保健所もない避難キャンプでの生活を余儀なくされています。 「今日は、ワクチンを持っている保健員に会いに来ました。これが、私たちが求めているものです。」とエルミさんは言います。 3ヵ月間の支援活動ユニセフの保健担当官イムラン・ラザ・ミルザ医師によると、紛争地域で広範囲にわたりこうしたキャンペーンを実施することはとても困難だったと話しました。 「モガディシュの子ども保健の日キャンペーンの計画を進め、実施にこぎつけるのは容易ではありませんでした。治安状況が日ごとに変化する不安定な状況の中で、激しい武力紛争によってキャンペーン実施の計画が中断されることもありました。」と、ミルザ医師は話します。 しかしながら、臨機応変な対応を重ね、十分な準備を整えた結果、モガディシュの子どもと女性に支援を行うことが可能となったのです。キャンペーンで使用された全てのワクチンとその他の支援物資は前もって配置され、保健員は、治安が安定したときにはいつでも活動を再開できるよう準備していました。 また、現地のユニセフとWHOのスタッフは、地元当局とその他のパートナーと密接な協力関係を築き、キャンペーンの計画と実施を促進しました。3ヵ月以上かけて、モガディシュの全ての地区で、キャンペーンの第一弾を実施することができました。 大きな成果「これは、このキャンペーンに参加した全てのスタッフにとって、本当に大きな成果です。」こう話すミルザ医師は、しかしながら首都では激しい武力紛争が未だにほぼ毎日続いていると付け加えました。そのうえでこう述べています。「けれども、たくさんの保健員たちを動員し、大量の支援物資の運搬と配布をしなければならなかったこの壮大なキャンペーンを実施することは、決して不可能なことではなかったのです。」 ソマリアでは、10人にひとりが1歳の誕生日を迎えることなく命を落とし、5人にひとりは5歳の誕生日を迎えることができません。ソマリアの中部・南部、特にモガディシュでは支援物資の輸送状況が困難であるにもかかわらず、この子ども保健の日キャンペーンは、あらゆる困難を乗り越え、地元コミュニティの強い決意と協力により実現しました。 |