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ソマリア: ジェンダーの平等に配慮した学校で教育を継続【2011年3月28日 ソマリア ブルティンレ発】 「なぜ女の子たちは学校を中途退学してしまうの? 生理のせい? それとも若年婚のせい?」と先生が聞いたとき、クラスの若者たちは少し恥ずかしそうにしていました。 でも、討論が始まると議論が飛び交います。結果、クラスにいる19人の女の子は全員「若年婚」だと言い、13人の男の子は全員「生理のせい」だと言います。 このように微妙な課題について、クラスいっぱいにいる若者たちが、笑いやからかい、恥じらいもあまりなく、真剣に討議しているのには少し驚きました。 この現場が、ソマリアだからなおさらです。子どもたちが思春期を迎えるにあたって、その変化について、伝統的にも、学校のカリキュラムでも、あれこれ伝えるのを憚ってきた中では、画期的なことと言えます。 ソマリア北東部のプントランドに位置するブルティンレ中等学校で行われているこの授業は、正確で実践的なアドバイスを若者たちに提供しようという革新的な試みの一つです。約12,000人の女子が対象となっています。 中途退学を減らす成熟への道プロジェクトと呼ばれるこのプロジェクトは、子どもの就学を伸ばし、中途退学する子ども(特に女子)を減らそうというものです。 これはユニセフとGECPD(平和と開発のためのカルカヨ教育センター)とのパートナーシップで実施されています。プロジェクトの一環として、女子には生理期間中に使う生理用ナプキン、下着、石鹸の入った衛生キットが提供されています。 クラスでは、思春期にどのような生理学的変化が起きるのかを教えています。男子と女子は、教育の意義と、学校にとどまることの意義を学びます。 ブルティンレ中等学校の黒板に、教師は、5つの言葉を書き込みました: これらが女子教育に与える影響—特に生理—については、あらゆる意見があるようです。「家事はどうにかなる問題だけど、生理となると個人の問題だからね・・・」と述べるのは、17歳のディップ・モハメドさん。クラスメートのラゲ・アブドゥルカディルさん(18歳)も同感です。「生理はお金持ちの女子、貧しい女子に影響を与える問題だね」 ジェンダーに対する誤解ホドンさん(17歳)は、生理が女子の教育に影響を与えないなどと考えるのは間違いだと言います。「以前は、生理が自然な現象だと教えられました。世界中の女の子がこれを経験すると。生理中は4日間、あるいは7日間、学校を欠席していました」とホドンさん。 ソマリアの女子が学校を休むのは、衣類が汚れるとか、からかわれるといった理由だけではありません。両親のほうにも原因があるのです。 ソマリアでは、男の子の教育は大事だと考えられています。男の子は、良い教育を受けられれば、給料を得る仕事に就くことができ、両親が年老いても面倒をみてくれるようになる、という考えがあるからからです。 女の子は、逆に、家事手伝いとしてみられ、次にはダウリー<婚礼支度金>の対象として見られます。「結婚前から女の子は両親の手伝いとして必要とされます。掃除したり、皿を洗ったり、年下のきょうだいの面倒をみたり」と語るのはGECPDの責任者ハワ・アデン・モハメドさんです。「ですから、初潮を迎えると、母親の頭の中では、学校を続けさせる意味があるのか、という考えになるわけです。もう女の子ではなく、一人前の女性だ、と。学校の友達と遊んでいる場合ではない。早く、旦那さまをみつけないと・・・という具合です」 女の子にとっての新しい未来プログラムに携わる人たちにとって、この伝統的な考え方を少しずつそぎ落としていくのは大変な苦労でした。 「女の子は家事さえやっていればいいのだ、と親御さんたちは言っていました」と語るのはハワ・アブディサメットさん。ガルカヨの町にあるGECPDが支援する女子向けの学校の父母会のメンバーです。 「私たちは説得したんですよ。女の子たちも足し算を習って、市場で上手に商売したり、裁縫のために採寸をしたり、お客様向けの請求書を書いたりできるようになってもいいのでは、とね」 成功事例を示すことで、女子教育に対する偏見を崩すことができるようになった、と語るのは、イスラム教の学者で宗教指導者のシャイフ・アブディナシル・アブダラ・ジャマです。彼は、GECPDのコミュニティ教育委員会の一員でもあります。 「実際の結果を示すのは、人々の考え方を変えるには最高の方法です。女性たちはご主人の家族のためでなく、ご両親のためにも所得を得ることができるわけですから」 |