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スリランカ:公共サービスの復興を担うパートナーシップ【2012年5月15日 スリランカ発】
村のお母さん方がつくる支援グループが、朝の巡回活動をしています。今日は、スリランカ東部の農村地帯にある最も貧しい地域の集落を訪問しています。 グループが心配しているのは、パッキャヤラクシュミさん一家の3人の子どもたちの中で一番小さなスジュランちゃん(2歳)です。現在、スジュランちゃんは、重度の急性栄養不良から回復しつつあります。この支援グループの女性たちは、スジュラちゃんの様子を見守り、医療記録を確認し、サポートしていきたいと話します。パッキャヤラクシュミさん一家は、スジュランちゃんの容態が改善しているという知らせに喜んでいます。 この母親グループの活動は、スリランカ政府との連携の下、ユニセフと欧州連合(EU)が3年にわたって行っている支援で実施されている重要な取り組みのひとつです。 全ての子どもたちをより健康に
紛争地帯の人々への支援(Assistance for Conflict-Affected People:ACAP)と呼ばれるこのプロジェクトは、武力紛争で避難を余儀なくされたコミュニティの人々に、教育や基礎的な医療、安全な飲料水と衛生設備(トイレ)の設置といった、生活に最低限必要な公共サービスへの人々のアクセスを改善することに重点が置かれています。 このEUとユニセフのパートナーシップにより、現在、100人以上の母親たちが、ボランティアとしてこうした支援グループで活躍し、村の中で、栄養や保健に関する啓発活動を行っています。また、彼女たち自身も、カウンセリングや栄養についての研修を受けることができています。 「母親の支援グループのメンバーになったことが、自分自身にも、とても役立っています。健康になる方法について、具体的に多くのことを学びました。」 こう話すのは、ボランティアの一人、チャンドラクマル・カヴィサさんです。「ここは貧困地域です。村で病気になる子どもたちがあまりに多すぎました。子どもたちは、保健センターを利用していませんでしたし、健康に良い食事を食べられない子どももたくさんいました。でも、状況が変わったのです。全ての子どもたちをより健康にさせている活動に、私も貢献しているように感じています。」 改善された保健サービスの内容と飲料水の水質村の中には、EUとユニセフのパートナーシップによって建てられ、政府が運営している新しい保健センターがあり、そこには、助産師さんたちが通っています。2011年12月に開院したこのセンターでは、ダルシニさんのような若い母親に、重要な支援を提供しています。 妊婦健診では、お腹の赤ちゃんの成長状態が測定され、心拍状況も観察されます。ダルシニさんの血圧もチェックされ、母子共に健康であることが確認されました。 また、子どもたちも、この新しい保健センターの恩恵を受けています。助産師さんたちによれば、この1年半で、5歳未満児の栄養不良の割合が著しく低下したそうです。 また、保健センターのすぐ近くには、井戸が設置されました。7人の子どもを持つコマスィさんは、この井戸の水質の良さと利便性を享受しています。2週間前までは、1キロ先まで水を汲みにいかなければならなかったのです。井戸は、コマスィさんの家庭の他、この地域に住む他の7世帯の人々と共有しています。 コマスィさん一家は、更に、このパートナーシップを通じて造られたトイレも利用できるようになりました。上水道を設置する準備も始まっていて、コマスィさんたちが、蛇口から水を得られるようになるのも、そう遠い日の話ではなさそうです。 全ての人に教育をひときわ高いパッディラプラム学校の校舎は、村の中でも目を引く存在です。この学校は、政府とユニセフのパートナーシップを通じて再建されました。1年前は約400人だった児童・生徒数は、現在600人近くになり、この数はさらに増えるものと見込まれています。 「この村は、武力紛争や津波の影響を受けた地域です」 ユニセフ・スリランカ事務所のキルパイラジャー・ゴウリスワラン栄養事業担当官はこう話します。「ユニセフと欧州連合のパートナーシップによって、教育、公衆衛生、栄養、水と衛生に関する事業を支援することができます。その結果、母親と子どもたちの生活が改善されているのです」 総額で900万ユーロを超える規模(うち15パーセントをユニセフが負担)のこのパートナーシップを通じ、これまでに、18の学校と、10の保健センターが建設されました。また、数千世帯に安全な飲料水へのアクセスを確保し、コミュニティを巻き込んだ形で、母親と子どもの健康を改善する取り組みを支援してきました。 |