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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち/ストーリーを読む

スワジランド: HIV/エイズとの戦いを呼びかける
200kmのウォーキングイベント

【2008年3月18日 スワジランド発

地図:スワジランド

アフリカ南部の小さな山国、スワジランドで、HIV/エイズと共に生きる人々に希望と自覚、尊厳を与えるメッセージを広めるために12日間にわたり開催されたウォーキングイベント、「ウォーク・ザ・ネイション」。アンドレア・シメラネさん(63歳)は、13日(木)に終了したこのイベントに参加した2000人中、最年長の参加者でした。

「HIV陽性だったけれど、諦めないと決めたんです。このイベントに参加して、国中の人々と一緒になってHIV/エイズの爆発的感染と闘うんだという意思を示し、わたしと同じ世代の人々が、みんなで立ち上がってこの病気と闘うんだということを、示さなくてはいけないんです。」と、数年前にHIV感染が判明したシメラネさんは語りました。

12日間にわたる「ウォーク・ザ・ネイション」で、人々の手から手に引き継がれた聖火を囲むユニセフ・スワジランド事務所のスタッフ
© UNICEF Swaziland/2008/Diller
12日間にわたる「ウォーク・ザ・ネイション」で、人々の手から手に引き継がれた聖火を囲むユニセフ・スワジランド事務所のスタッフ

約100人の「ネイション・ウォーカー」が、モザンビークとの国境地帯から南アフリカとの国境までの200kmの全行程を歩ききりました。イベントの途上、熱心な参加者が彼らに加わりました。また、7000人もの人たちが、「ウォーク・ザ・ネーション」の途中で開催されたHIV予防のカウンセリング、自発的なHIV検査を推進する関連イベントに参加しました。

「ウォーク・ザ・ネイション」のコースは、主に、HIV感染率が高いにも係らずエイズに関する知識が広まっていない農村部に設定されました。コースの途中の村々では、158人がエイズについて学び、HIV陽性を確認しました。

抗いがたい現実

小さな町マンカヤネを通り過ぎたとき、イベントの参加者たちは、町の病院でこの病気の厳しい現実を目の当たりにしました。病院には患者が溢れかえっていました。緊急に治療を必要とする患者さんが次々と来院するのですが、医療スタッフが不足しているため対応できない状態でした。

看護師のドリス・シャバングさんは、患者の大半がエイズに関係した病気に苦しんでいると言います。「私たちの病棟でさえ、ときどき患者さんを収容できないくらい混雑してしまうんですよ。」

スワジランドは、国民の33%以上と世界で最もHIV感染率が高い国です。感染者の生存が極めて厳しい状況にあるのです。しかし、この国の若者たちには希望があります。今回の「ウォーク・ザ・ネイション」の全コースを踏破した参加者の85%は25歳未満の若者でした。

正しい道のりへの一歩

ユニセフや米国平和部隊をはじめ、全18の団体によって計画・実施された「ウォーク・ザ・ネイション」には、あらゆる階層のあらゆる年齢の人々が参加しました。地元のテレビ局やラジオ局は、参加者の後を追い、毎日、参加者が熱心に語るメッセージを放送しました。

「ウォーク・ザ・ネーション」の聖火を手渡す、胸にユニセフのロゴが輝くスペイン・プロ・サッカーリーグの雄、FCバルセロナのユニフォームを着たスワジランド首相テンバ・ドラミニ氏。
© UNICEF Swaziland/2008/Diller
「ウォーク・ザ・ネーション」の聖火を手渡す、胸にユニセフのロゴが輝くスペイン・プロ・サッカーリーグの雄、FCバルセロナのユニフォームを着たスワジランド首相テンバ・ドラミニ氏。

3月2日(日)、「ウォーク・ザ・ネイション」のスタートを聖火の贈呈で飾ったスワジランド首相テンバ・ドラミニ氏は、13日、イベント参加者をゴール地点で待ち受け、国中のコミュニティーを受け渡されてきた聖火を受け取り、その火を消しました。

スワジランドはまだ、HIV/エイズとの闘いの道半ばにあるのかもしれませんが、「ウォーク・ザ・ネイション」は国を正しい方向へ導く重要な一歩となりました。

「子どもとエイズ世界キャンペーン」

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