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タイ:
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© UNICEF Thailand/ 2014/ Aphiluck Puangkaew |
タイの子どもたちの約21%にあたる300万人以上の子どもたちが、親が国内に出稼ぎに行っているため、両親またはどちらかの親と暮らしていないことがわかりました。ユニセフは、本日、こうした現象は子どもたちの成長と健康に長期にわたって影響を及ぼしかねないと発表しました。
ユニセフの支援を受けてタイの国家統計局が2012年に実施した最新のMICS調査(Multiple Indicator Cluster Survey:複数指標クラスター調査)の結果、タイ北東部だけでも、30%近く(3人にひとり)の子どもたちは、親がタイのほかの地域に出稼ぎをしているために、両親のいずれかと暮らさずに他の人に面倒をみてもらっていることが明らかになりました。
国内での出稼ぎが乳幼児期の成長に与える影響について、実施中の研究の第一段階の結果発表にあたり、ユニセフ・タイ事務所の社会政策チーフのアンドリュー・クレイポルは、次のように述べました。「タイで親と暮らせていない子どもの割合は、ほかの国々と比べて、明らかに高く、大いに懸念すべき状況です。タイの人々は、乳幼児の両親が出稼ぎに行った場合、祖父母やほかの人が面倒をみることを当たり前だと考えています。国内に出稼ぎに出ている人は極めて多く、MICS調査が実施されている同様の国々とは、規模が異なります」と述べました。
MICS調査の2012年データによると、両親と共に暮らしていない子どもの割合は、ラオス(5%)、ベトナム(4.4%)、コスタリカ(3.4%)、ナイジェリア(6.5%)となっており、21%のタイとは大きな開きがあります。
「出稼ぎによる乳幼児期の健康と成長への影響−長期的混合式調査:(原題:The Impact of Internal Migration on Early Childhood Well-being and Development: a Longitudinal and Mixed-Method Study)」なる新たな調査では、両親またはいずれかの親と暮らしていない0〜3歳の子ども1,000人を対象に調査を実施。親と暮らさないことで、子どもたちの健康と成長へ生じる長期的な影響を調べました。調査は、ユニセフの支援を受けて、マヒドル大学人口社会研究所(Mahidol University’s Institute for Population and Social Research)が2013年より開始。タイでは、今回の調査で初めて、親の出稼ぎによる乳幼児期の成長への影響を長期にわたって調べられました。また、今回、出稼ぎが両親に代わって面倒をみる人に、精神面、家計面で与える影響も調査されました。
今回の調査のチームリーダーを務めるマヒドル大学人公社化研究所のアリー・ジャムパカレ・准教授は、調査の1年目の結果を引用しながら「両親と暮らしていない子どもたちのおよそ90%は、祖父母と生活しています。祖父母の大半は、小学校レベルの教育しか受けていないことがわかりました。また、大半は祖父母になりますが、子どもたちの面倒をみている人の約36%が、精神的な問題を抱えている恐れがあることがわかりました」と述べました。
© UNICEF Thailand/ 2014/ Aphiluck Puangkaew |
初期段階の調査の結果、両親と暮らしていない子どもの約25%に、発育の遅れがみられるといいます。両親と暮らす子どもで発育の遅れがみられるのは16%です。また、両親と暮らしていない子どもには、特に言語面での発育の遅れが顕著となっています。
調査では、父親が出稼ぎに出ている場合、父親の約40%は直近6カ月以内に送金をしていないことも判明。また、父親のおよそ30%は、一度も子ども自身または子どもの面倒をみている人に連絡を取っていませんでした。
ユニセフのクレイポル社会政策チーフは「今回の調査で、出稼ぎが子どもの発育において与えうる負の影響への理解が高まると思います。また、出稼ぎによって、長期にわたって親子が触れ合うことができません。こうしたことで、子どもたちや両親、面倒を見ている人たちが受けている社会的、感情的な影響も明らかなるでしょう」と述べました。
本調査は、引き続き調査対象となっている1,000人の子どもたち今後2年にわたって調査し、最終結果を2016年はじめに発表する予定です。
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