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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

鳥インフルエンザとの闘い
<ベトナム>

【2007年1月8日、ベトナム・ハータイ省発】

ングイェン・ティ・タムさんの生活は、鳥インフルエンザの影におびえながらの毎日です。 ングイェンさんはベトナムの首都ハノイの南に位置するハータイ省で養鶏業を営む女性。2005年に鳥インフルエンザの感染が拡大したとき、ングイェンさんが飼育していた200羽の鶏は一羽残らず処分されてしまいました。

それ以来、ングイェンさんは新たに200羽の鶏をそろえて事業を再開しようと懸命にがんばっていますが、将来に対する心配がぬぐえません。彼女が心配するのも無理はありません。ベトナム南部で鳥インフルエンザが再び流行し、ここ数週間で数千羽の鳥が死んだり、処分される事態におちいったからです。

「鳥インフルエンザは本当に恐ろしい病気です。どうやって鶏を育てていけばいいのでしょうか、心配です」ングイェンさんはこう訴えます。「もし家の鶏が感染してしまったら、家族の生活にとって大きな痛手になってしまうでしょう」

危険の大きさは変わらず

ベトナムは鳥インフルエンザの影響をもっとも強く受けている国のひとつで、この病気に感染して亡くなった人の数がインドネシアに次いで2番目に多い国です。ベトナムでは93人が鳥インフルエンザに感染し、そのうち42人が亡くなりました。前回の流行が起きたときは、感染拡大を阻止するために数百万羽の鳥が処分され、養鶏業者がこうむった経済的損失は数千万ドルにのぼります。先月には、直近の感染流行に対応して少なくとも4万羽の鳥が処分されました。

国際社会からの支援を受けてベトナム政府が迅速に対応した結果、人への感染は拡大していません。2005年11月以来、感染者はひとりもいないのです。しかし、最近になって再び鳥インフルエンザ・ウィルスが国内で見つかり、人の間での感染拡大の危険が高まっています。

協調対応

© UNICEF Vietnam/2006/Nettleton

鳥インフルエンザの人への感染を防ぐため、ユニセフはベトナム保健省と協力して安全な衛生習慣の普及とコミュニティの啓蒙に取り組んでいる。

「まだ安心することはできません」ベトナムの国連常駐調整官ジョン・ヘンドラ氏はそう語ります。「私たちは現状に甘んじることなく、この国の人々がもっとも効果的に対応することができるよう、その能力強化を支援していかなければならないのです」

現在、ベトナム政府と世界保健機関(WHO)、食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、およびユニセフを含む国連諸機関とによる、1,600万ドル規模の共同プログラムが実施されています。

このプログラムは、政府と国際機関双方による、複数の分野にわたる鳥インフルエンザ封じ込め対策の調整を行うものです。日本政府からの拠出金により、ユニセフはコミュニティの意識を高め、衛生習慣を改善すべく、ベトナム保健省と協力して活動を行っています。

将来の流行に備えて

この支援によって、同国南部で発生したような感染流行に対してより良い対応ができるよう準備を整えることができた、とベトナム政府は述べています。

「以前に比べて感染防止に役立つ知識が増え、より適切な行動をとることができるようになりました」農業農村開発省の副大臣ブイ・バ・ボン氏は述べました。「どんな事態が起きても、対応する用意はできています」

鳥インフルエンザが今後拡大するようなことがあれば、ングイェンさんのような養鶏業を営む人々は、その影響を真っ先に受けることになる人たちの一部となるでしょう。そんな人たちにとって、こうした言葉は願ってもない言葉なのです。

 

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