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ジンバブエ:庇護を求めて、たくさんの人が南アフリカへ流入【2009年1月5日 南アフリカ ムシナ発】
昼間の厳しい太陽の日差しを避けて、葉の生い茂った木の下の、小さな草地の上に、女性と子どもたちが座っています。ジンバブエから国境を越え、避難してきた人々です。 南アフリカのリンポポ州のムシナ野外広場は、現在こうした避難民たちが集まる場所となっています。ユニセフは、パートナー機関と共に、子どもたち——特に、親や保護者のいない子どもたち——の権利と健康を守るために活動しています。 コンピューターを備えた、内務省の4台のトラックが、広場の中央に止まっています。トラックの中では、移民担当官が3ヵ月の避難民滞在許可書を発行しています。最近、ジンバブエではコレラが流行しているため、南アフリカ政府は避難してきた人たちを国外退去させないようにしているのです。 仕事を求めて娘のリサちゃん(3歳)を連れて南アフリカにやってきたルテンドさんは、この許可書を手にし、南アフリカのヨハネスブルグで 美容師としての仕事を見つけるつもりだと言います。避難民として完全に認められることはできそうにありませんが、ルテンドさんは、ジンバブエにいる3人の子どもたちに送金するお金を稼ぎたいと思っているのです。 ルテンドさんは、彼女と娘の着替えだけをもって、3日前に家を出てきました。「子どもたちを食べさせるために、なんとかして仕事を探したいと思っていたんです。子どもたちがお腹をすかせているのに、食べさせられないんですから。」ルテンドさんは言います。 ジンバブエでの状況悪化に伴い、ここ数カ月の間に庇護を求める人たちが劇的に増えていることがあらゆる調査で分かっています。こうした人々の中に含まれる親や保護者のいない子どもたちの数も、増加しています。最新の推定では、一月あたり1,000人に上るものと見られています。 親や保護者のいない子どもたち先月発表されたユニセフの報告書『コレラの流行の影響を受けている女性と子どもたちの緊急のニーズ』では、ムシナ地域では、親や保護者のいない子どもたちが、推定2,800人いると言及されています。こうした子どもたちの約92パーセントは、路上や危険な場所での生活を余儀なくされているのです。 仕事や親戚を探すことができる都市部へいこうと、多くの場合、子どもたちはひとりでやってきます。若い女の子たちは、しばしば性的に搾取されたり、家庭内労働者として働かされたりします。 子どもたちの大多数は、雑用、物乞い、窃盗などをして、わずかなお金を稼いでいるという報告もあります。こうした子どもたちが、国境を越え不法に滞在すると、嫌がらせ、性的搾取、逮捕、病気などといったリスクに晒されることが多くなるのです。 過去数年間、国境を越えたと確認され、ジンバブエに強制送還された子どもたちの多くは、国際移住機関(IOM)とユニセフが支援する他の人道支援組織のもと、家族との再会が図られてきました。しかし、残念ながら、多くの子どもたちはまた親や保護者のもとを飛び出し、舞い戻ってきてしまいます。貧困や飢えのために、再び国境を越えて国外に出ようとする子どもたちが少なくないのです。 現在、ジンバブエでも南アフリカでも、こうした子どもたちの面倒を看るソーシャルワーカーが不足し、国境を越えた子どもたちを確認し、追跡する適切な追跡システムがないため、子どもたちは自分たちで生き延びていくしか術がありません。 子どもに優しい空間12月、ジンバブエと南アフリカにいるユニセフと他人道支援団体の子どもの保護専門家が、ムシナに集まり、この高まりつつある危機について協議しました。 「多くの子どもたちがひとりで生きているので、ユニセフとしては、彼らが必要なニーズを満たし、保護を受けられるよう、第一優先で努力したい」とユニセフ・南アフリカ事務所代表のマラスィ・ピライ代表は話しました。 「子どもに優しい空間」を設置する計画が立てられています。さらに、避難民滞在許可書の発行を待つ子どもたちが教育を受けられ、娯楽活動もできるよう、計画が進められています。ムシナの路上で生活する子どもたちが増えているため、子どもたちに温かい食事を提供し、身体を洗えるよう、ドロップ・イン・センター(保護センター)に対して追加支援も行われる予定です。 ジンバブエの国境沿いに位置する村や農村部には、3つの「アドバイス・サービス・センター」が設けられます。子どもたちは、新しい環境に対処できるよう、法律上の助言、保健についての情報、基本的な食料と衛生パッケージを提供される予定です。 南アフリカへ流れ込んでくる、子どもたちを含めた避難民の流れは、すぐには止まりそうにありません。ユニセフ南アフリカ事務所は、今回の危機で影響を受けている女性と子どもたちのため、飲料水、衛生、衛生教育、教育の提供、保護に必要な資金として140万米ドル(1億3000万円)の支援を国際社会に求めました。 |