氏名:熊丸 耕志(くままる こうじ)
派遣先:エチオピア事務所
派遣期間:2011年3月〜7月
Self Supply、それは地方の過酷な環境で生きる人々の一つの生き方かもしれません。語訳すれば自助供給、自助給水というところでしょうか。これがインターンを通じて携わらせていただき、また私のPhDプログラムにおける研究テーマでもあります。UNICEFの水と衛生(WASH)部署が取り組んでいるSelf Supply、それは数多くのドナーや政府が地方給水施設を村に1つ寄贈して後の維持管理は任せたよ、という従来からの手法とは根本的に異なる試験事業です。
Self Supplyとは昔から村人が使っている既存の家庭手掘り井戸を改善して持続的に安全な水にアクセスできることを目的とした手法です。井戸を改善して、とありますがUNICEFが、政府が井戸修理をするわけではありません。Self Supplyの手法としては、大きくわけて、1) 適正技術アドバイス、2) 地方民間セクターの能力開発、3) 金融メカニズムの構築そして4) 政策展開の4つを大きな柱としています。これらの柱を育てていくことで、実際に家庭井戸を改善していくか否かは村人が決めていくことです、なぜならその井戸は彼らの財産だから。
しかし、ソマリアとの境を持つエチオピア南西部においては水不足、飢饉がとりわけ深刻であり、どの地域でもSelf Supplyという手法が通じるというわけではありませんが、地盤環境や村落住民の社会経済的な側面が許す環境下においては、その期待されるところは住民側からも政策決定者側からも大きくなっています。
私がインターンを通して携わったのは、Self Supply手法において、どのレベルの地方給水保護により安全な水を確保できるかのベンチマーキング現場調査の調整並びに指揮、そしてSelf Supply適正技術の一つの可能性として高いRope Pumpの地方レベルでの生産力とその持続性を評価するコンサルタントとの共同作業です。
インターンを通じて感じたことは大きくわけて2点。UNICEFが支援するSelf Supplyという給水手法は、ある種、村人の生き方から学ぶものであるという学び。そしてUNICEF WASHの仕事は如何に現場が近くとも仮想マネージメントの領域が多分にある。これは水のプロという背景を持つ多くの職員から聞かされた言葉です。逆に言えば、現場感覚のある職員が質のある業務をこなす。
この先インターンを志す方々は大いに背伸びをしてみて下さい。業務に留まらず、ネットワーク作りに、趣味に就活に婚活に。インターン期間はそこだけ別枠なのではなく、人生の大切な1ページだと思います。
PhD終了後も、長い目でみて子供たちの今日と明日のために自分を表現できればと考えております。私がエチオピアの地に足を踏み入れさせていただいたのは東日本大震災の発生数日後でした。災害で突如失われる命、飢餓で慢性的に失われる命、自身が生きていることに感謝し、大切な方々と今を育てていく所存です。末尾となりましたが、日本ユニセフ協会、そして現地エチオピア事務所の皆様の不断のご支援に心より御礼申し上げます。
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