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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 北島 詩織
派遣先 ネパール事務所
派遣期間 2015年6月〜2015年8月
オフィスのメンバーと

大学院1年目の夏を利用して10週間、ネパール事務所の教育部門でインターンをする機会に恵まれました。4月25日に発生したマグニチュード7.8の大地震とその後の余震のため緊急支援にも携わることになりました。派遣前はまだ余震が続いており、現地の状況が把握しづらく不安もありましたが、緊急教育支援に携われることと大学院で教育政策とジェンダーを学んでいるため渡航を決断しました。

当時は、ネパールの一部の学校で授業が再開しユニセフも地震対応業務から徐々に通常業務に移行している段階でした。そして教育クラスターもユニセフ内に設置されていました。一連の地震により75郡のうち31郡が被災し、約5万の校舎の損壊によりおよそ100万人の子どもたちの教育環境に影響を及ぼし、経済損失は8740億円と推定されています。

インターンでは、主に1)地震後の緊急支援と2)教育政策とジェンダーに関わる通常業務の2点に携わりました。まず、緊急支援ではNGOや国際機関からの情報収集、教育物資を現場に適切に送るための手伝い、仮設校舎(Temporary Learning Center, TLC)の視察、教員・生徒への聞き取り調査などを行いました。TLCの大半は竹を使用して教員や地域住民による手作りでできており、建物の質のばらつき、電気がなく教室が薄暗い、トイレのドアが壊れているため生徒がトイレの使用をためらうケースなどがみられました。学校訪問時に地震で使用禁止になった校舎の壁に、ネルソン・マンデラの名言である「教育とは世界を変えるために用いることができる、最も強力な武器である」が書かれてあり、とても印象的でした。その他、支援物資の調整のために郊外の倉庫に片道5時間ほどかけて日帰りで行ったこともありました。

二つ目の通常業務として、教育の公平性(Equity)に関するレポート、ドナー報告書の作成や会合に出席しました。ネパールは多宗教・多言語・多民族国家であり社会経済的格差も顕著なため、教育格差が依然として課題です。例えば、都市部に住む貧困層の女子と地方に住む富裕層の男子では平均教育年数は8.14年もの差があります。また、政府の教育政策の認知度を上げるために、地元のNGOと協力して内容を簡略化したインフォグラフィック(図表)も作成しました。

緊急災害後であったこともあり、短期間に凝縮して貴重な経験を積むことができました。支援を効率よく、最大限の効果をもたらすために政府・NGO・UNICEF間の連携の重要性を強く感じました。また、胸が痛くなる現実も多くあり、問題の複雑さや難しさに無力感にさいなまれることも多々ありましたが、余震が続くなかで仕事をするユニセフスタッフの仕事に対する熱意と高いプロ意識に魅力を感じました。地震により宿泊施設の多くが被害を受けて減少しており、海外からの援助関係者も殺到して宿探しに困っていたときも日本人スタッフの方に泊めていただき、とても助けられました。

最後に、地震発生後にも関わらず現地事務所とコーディネートをして貴重な経験をする機会を提供していただき、私をあたたかく支えてくださった日本ユニセフ協会、ユニセフネパール事務所の皆様に心から感謝申し上げます。


*クラスターアプローチ:支援活動の効果を高めることを目的とした、人道支援における専門分野毎の組織間の支援活動を調整するメカニズム。11のクラスターに分かれており、ユニセフはセーブ・ザ・チルドレンと共に教育クラスターのリードエージェンシーの一つ。

仮設の教室をつくる様子
ユニセフの支援物資
仮設の教室を視察
ネパールの子どもたち

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