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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 堀尾 麗華
派遣先 フィリピン事務所
派遣期間 2015年9月〜2015年12月
バランガイで聞き取り調査を行っている様子
お話を伺った障がい当事者のみなさんと

2015年9月〜12月の16週間、ユニセフ・フィリピン事務所の保健と栄養セクションで、主に障がいのある子どもたちの事業に携わらせて頂きました。ユニセフ・フィリピン事務所にとって、初めての障がいのある子どもたちの事業ということもあり、開発と障害を修士課程で専門としていることから、専門性を活かしたお仕事をさせて頂きました。またフィリピン滞在中には、フィールドに行く機会にも恵まれ、2013年11月8日に台風30号(国際名:ハイエン)がフィリピン中部を襲った被災地にも足を運び、当時、障がい者がどんな状況だったのか、また行政はどのような対応を取ったのかについて、聞き取り調査も行いました。

障がいのある子どもたちの事業をスタートさせるにあたり難しかった点は、そもそも正確なデータが存在しないということでした。2010年のフィリピン統計庁の調査では、総人口における障がい者の割合が1.57%と低い数字になっており、正確なデータが得られない原因の1つとして、フィリピン人の障がいのある家族を持つことへの羞恥心が背景にあると言われています。また台風30号の被災地、レイテ島タクロバン市では、元々あった障がい者のリストが高潮で流されてしまったため、現在、タクロバン市社会福祉課がリストを作り直している段階であったため、フィールド調査では、1つ1つのバランガイ(最小行政区)を回り、障がい者の方々を探すところから始まりました。

聞き取り調査で印象に残っているのが、インタビューを終えた後、ある身体障がいを持つ男性が「今すぐ支援を貰えなくても、誰かとこうして共有出来たことが嬉しい。」とおっしゃった一言です。あれから2年という月日が経ち、多くの援助機関が現地から撤退していく中で、あの時、行政の支援から漏れてしまった障がい者の方々の誰かに話したい、わかって欲しい。自分たちの存在に気付いて欲しい。そんな気持ちを真正面から受け取った被災地滞在でした。

今回のインターンシップを通して、障がいのある子どもたちの事業を実施する難しさを痛感したのと同時に、改めて事業のやりがいと必要性を実感することができ、まだまだ専門家が少ない分野ではありますが、近い将来、次は職員として戻り、お仕事したいという夢も出来ました。このような貴重な機会を与えて下さった日本ユニセフ協会の皆様、ユニセフ・フィリピン事務所の皆様には、心から感謝申し上げます。いつか開発と障害の専門家として戻れるその日まで、日々精進したいと思います。

復旧したタクロバン市役所
仮設住宅の前にあるタクロバン障がい者協同組合の作業所でお仕事するみなさん

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