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財団法人日本ユニセフ協会




アフガニスタンに迫る厳しい冬
「僕たちには何もない。水差しひとつない」

イスラマバード、2001年9月1日(ユニセフ)

Chulho Hyun:ユニセフ・アフガニスタン事務所、広報担当官 chuyn@unicef.org

アフガニスタン北部にある廃墟となった建物が、12歳のアビドゥラと家族の住まいです。一家は戦火を逃れ、昨年後半にタカール州からバダクシャンに到着しました。

「急いでいたから、荷物は何ひとつ持ちだせなかった」アビドゥラは、訪ねてきたユニセフ職員に話しました。「僕たちには何もない。水差しひとつないんだ」

アビドゥラの一家のようなアフガン人は国内避難民(IDP:Internally Displaced Persons)と呼ばれ、50万人以上います。アフガニスタンはもともと貧しい国ですが、長引く内戦と深刻な干ばつによって、住むところのなくなった人たちが、2000年夏以来各地のキャンプに収容されています。

そして、国内避難民たちは新たな問題に直面しています。
冬の訪れです。湿気を多く含んだ季節はずれのモンスーンのせいで、今年のアフガニスタンは冬の訪れが早く、寒さが例年より厳しいという予報が出ています。とりわけ体力のない子どもたちにとって、厳しい冬から身を守れるかどうかが、そのまま生死に関わってきます。

ユニセフ・アフガニスタン事務所の緊急支援担当官であるセリム・アーメドは、国内避難民の数は50万人で、その半数を占める子どもたちだけにでも、寒さが訪れる前に毛布や冬物衣類、靴を届け、また家族にも日用品を支給するべきだと語ります。

ユニセフはすでに5万人分の子どものための防寒具を発注しており、9月末までに予備配備を終わらせる予定だとアーメドは言います。
彼は最も援助が必要な地域を回って、実態調査を終えたばかりです。集中的に支援が必要になるのは、マザール、ヘラート、ファイザバード、カンダハルの各地域です。

ユニセフはこれまでにアフガニスタン支援のために75万米ドルの資金を要請しています。この資金で5万人の子どもへの支援が可能になります。(1世帯の子どもの数は平均2人)。これは、毛布2万5,000枚、子ども用セーター5万着、子ども用靴5万足、女性用のジャケットおよびセーター2万5,000着、家庭用キット2万5,000セットに相当します。

しかし国内避難民となっている子どもすべてに支援を行なうには、あと250万米ドルが必要です。

アーメドはマザールにあるユニセフの事務所を訪ねた折、アフガニスタンのNGO(非政府組織)CHAとともに、サキにある国内避難民キャンプに家庭用キット2,500個を配布しました。キットには、ボウル、やかん、石鹸、マッチなどが入っています。

「ボウル1個、スプーン1本といったささやかな品物でも、人びとは大喜びでした。難民側だけでなく、当局や支援者側からも前向きの反応が得られました」とアーメドは語ります。

しかしバダクシャンにいるアビドゥラ少年に支援が届いたかどうかを確かめることは困難です。大勢の避難民にまぎれて、アビドゥラの所在はわからなくなっています。
話を聞いたとき、彼はコクチャ川の激しい流れを眺めながらこう言いました。
「母や妹たちのために水汲みをしなくちゃならない。でもバケツがないんだ」

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その後、米国での連続テロ事件の影響により、さらに多くの国内避難民、難民が発生し、状況は非常に厳しくなっています。アフガニスタン国内のユニセフのプログラムは、ローカルスタッフによって継続されており、(財)日本ユニセフ協会は9月20日よりアフガン難民緊急募金の受付を開始いたしました。

 アフガン難民緊急募金へ