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財団法人日本ユニセフ協会




2001年9月20日

紛争と干ばつによる被害が拡大
アフガン難民の子どもを支援する
ユニセフ緊急募金の受付を開始

 財団法人日本ユニセフ協会(本部:東京都港区、会長:澄田 智)は、「アフガン難民緊急募金」の受け付けを9月20日から開始します。これは、アフガニスタンの子どもと女性に対するユニセフ(国連児童基金)の緊急援助活動を支援することが目的です。
 アフガニスタンでは、大規模な干ばつと長引く紛争により、すでに50万人以上の国内避難民が発生しています。加えて、今回のニューヨーク、ワシントンでの連続テロ事件の影響により、更に多くの人々が故郷を捨て安全を求めて移動を始めています。それにともない、難民、国内避難民に対する救援のニーズが現在急速に高まっています。

増加する難民、避難民

 アフガニスタンでは現在、アメリカでの同時多発テロ事件の影響から子どもと女性を中心に数十万人の住民が安全を求めて農村部や隣国のパキスタン国境に避難を始めています。国連によると、パキスタン北西部の州都ペシャワルにはアフガニスタン南部の町カンダハルやその他の都市からの難民が大量に流入しており、その約7割を占める子どもと母親に対する人道援助の必要性が高まっています。
 アフガニスタンはこのところ30年来の大規模な干ばつが進行しており、120万人以上の住民が影響を受けていました。また、長期間続く紛争によって住民の生活は極度に疲弊しており、今回の影響はアフガニスタンの子どもと女性の生活にも大きな打撃を与えつつあります。
 イスラマバードに退避しているユニセフ・アフガニスタン事務所の職員、勝間靖氏によると、「アフガニスタン国境は封鎖されているため、国外脱出が困難な中、国内避難民キャンプに行くことも出来ずに村に閉じ込められている人々も多くいます。食糧の国内備蓄は2〜3週間、医薬品も1〜2ヵ月分しか残っていません」。
 ユニセフなど国連機関の外国人職員は国連本部の退避命令によりアフガニスタンよりパキスタンなど他国へ一時出国しているものの、国内避難民に対するユニセフの緊急援助は約70人のアフガン人職員によって継続されています。また、パキスタンに流入したアフガニスタン難民の子どもと女性に対する支援は、イスラマバードやぺシャワールのユニセフ現地事務所が行っています。

ユニセフの緊急援助

 ユニセフは9月17日、ナイジェル・フィッシャー・ユニセフ南アジア地域事務所長をアフガニスタン及び周辺の諸国におけるユニセフ特別代表に任命し、今回の緊急事態による難民、避難民に対する援助体制を強化しました。デンマークのコペンハーゲンにあるユニセフの物資集積センターからは、9月20日に緊急救援物資を積み込んだ航空機がパキスタンに向けて飛び立ちます。下痢による脱水症を防ぐ経口補水塩(ORS)10万袋、10万人の3ヵ月分の緊急保健セット、2500世帯分の避難テント用防水布とロープ、10リットル飲料水ケース2万6000個、5000リットル給水タンク1基、浄水剤15万錠など13万2000ドル(約1550万円)相当の救援物資が運搬されます。ユニセフはあわせて6回の空輸を行い、75万ドル(約8850万円)の援助物資を難民、国内避難民の子どもと女性の元に届けます。
 ユニセフは現在、次の分野で援助活動に取り組んでいます。

◆保健
 避難民キャンプの15歳未満の子ども全員にはしかの予防接種を行うため、200万回分のはしかのワクチンを調達して接種を進めています。下痢による脱水症を防ぐ経口補水塩(ORS)50万袋も配布します。

◆栄養
 子どもの栄養事情が悪化している ため、ユニセフは避難民キャンプで栄養補助食の配布準備を進めています。

◆水と衛生
 避難民キャンプ周辺を中心に、井戸の設置と修理、井戸水の浄化、トイレなどの衛生施設の設置、入浴施設やごみ捨て場の整備などを進め、子どもを含む住民の健康を守るために清潔な住環境の整備を推進しています。

◆教育
 学校は緊急状況下の子どもが平常心を取り戻す機会を提供するため、カブールやヘラート等の避難民の子どもを対象とした簡易学校の開設と運営を支援しています。女子や障害を持った子どもの教育の機会の確保に重点を置いています。

◆子どもの保護
国内避難民キャンプに「子どもに優しい空間」と呼ばれる子どもが安心して勉強や遊ぶことができ、カウンセリングを受けることのできる施設を設置しました。

お問合せ:(財)日本ユニセフ協会 協力事業部
TEL:03-5789-2012