HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > アフガニスタン 2001/10/3
財団法人日本ユニセフ協会




アフガニスタンの子どもたちに物資を届ける、希望のトラック部隊
ユニセフ、緊急支援物資を200トン輸送

ペシャワール、2001年10月3日(ユニセフ)

アフガニスタン国内にいる数百万人の人たちへ向けて、厳しい冬を越すのに必要な物資を届けるための大がかりな輸送作戦が開始されました。目的地はカブール、ヘラート、ジャララバード、及びカンダハルです。 パキスタンのペシャワールを9月29日に出発した第一陣の指揮をとるのは、アメリカ人女性、ヘルミオン・ヤングス。丈の長い青いシャツを着て、頭にユニセフのスカーフを巻いた彼女はとても小さく見えます。彼女が決然とたたずむその後ろには、色とりどりの大型トラックが25台控え、これからユニセフの緊急支援物資200トンを、アフガニスタン北部のバダクシャンにいる子どもたちに届けるのです。2001年9月11日以来、アフガニスタンでは国連のトラック部隊の活動が中断していましたが、この日再び動き出すことになりました。

「アフガニスタンに長年暮らしていて、このルートは3年前から使っていますが、こういう状況でバダクシャンに向かうのは初めてです。困難な旅になるのはわかっています。でもこれが最後のチャンスかもしれない。もう雪が降りはじめているから、トラックで行けるのはこれが今年最後になるでしょう」とヘルミオンは語ります。

ペシャワールを出発した25台のトラックは、450km離れたパキスタン北部のチトランに向かい、そこで物資をジープに積み分けて峠を越えます。そこから先は4000頭のロバの背に乗せられて標高4600mの国境地帯を越え、アフガニスタン北部の避難民に届けられる予定です。

ユニセフ事務局長のキャロル・ベラミーは「待つことは、我々の選択肢にない」と断言します。なぜなら「アフガニスタンの子どもたち、女性たちがこれらの物資を必要としているからであり、冬が近づけば状況はさらに悪化する一方だから」です。 ユニセフは、アフガニスタン国内へ向けた支援だけでなく、その国境周辺各地に避難してくる難民のための支援物資を集積しつつあります。先週末にはペシャワールとトルクメニスタン南東部のトルクメナバッドにコペンハーゲンからの輸送機が到着ました。また、今週中にはイラン側のメシャド、パキスタン南部のクェッタにも輸送機が物資を運んでくる予定です。

アフガン難民支援のため、ユニセフは3600万ドルが必要と試算していますが、20年来の内戦と3年続きの干ばつに加え、今回の事態で破滅的な影響を受けている人々が冬を越すためには、総額で5億8400万ドルの国際的な支援が必要となっています。

背景:
この冬を乗り切るために、国際的な救援を必要としているアフガン人はおよそ750万人。その3分の2以上は女性と子どもです。そして、そのうち5歳未満の子どもは150万人もいます。9月11日にアメリカで発生したテロ事件の前から、アフガニスタンで生まれた子どもの4人にひとりは、5歳の誕生日を迎える前に命を失う状況でした。昨年は寒さのために100人の子どもが亡くなり、栄養不良で命を失った子どもはその数を上回っています。アフガニスタンでは、冬の気温が零下25度にまで達します。


ヘルミオン・ヤングスからの報告

チトラル、2001年9月30日(ユニセフ)
ヘルミオン・ヤングス

「今日はとてもいい一日でした——トラックの上に乗って過ごしました」とヘルミオン。ユニセフのトラック部隊を率いる彼女は、2日目のことをこう報告しています。

以下に紹介するのは、出発して数日間の様子を伝えるヘルミオンの報告の要約です。ヘルミオンと25台のトラックは、子どもたちに必要な物資を届けるため、アフガニスタン北部をめざしています。トラック部隊の隊長を務めるヘルミオンの報告を紹介します。

私たちは9月29日の正午にペシャワールを出発しました。25台のトラックは午後いっぱい、何事もなく快適に走りました。道路の状態も良く、かなりの距離を進むことができました。途中で出会う人たちがとても友好的だったのは、テレビやラジオでトラック部隊が出発するニュースを聞いていたからです。私たちの姿を見つけると、みんな手を振ってくれました! 夜の8時、トラックの長い列はディルという小さい町に到着。その夜はここで一泊しました。

今朝は午前9時に出発です。長い一日になるので、朝食はしっかりとりました。7時間走って100kmという走行距離は、山道であることを考えると充分でしょう。標高3,000mのところにあるラロヒ峠を越えたあたりで、もう雪が降りはじめているのが確認できました。峰々は白く輝いています。上りはそれほど大変ではなかったのですが、むしろ下りが厄介でした。道がとても狭く、いつ下から対向車が来るかびくびくしながら進みます。私は先頭のトラックの屋根に乗っています。とても怖いのですが、すべてのトラックに目を配りたいのでしかたありません。天気は上々——晴れて暖かい日です。私はトラックの屋根で一日を過ごしました! 途中で2台のトラックが故障したので、修理のためにその場に残して先に進みました。明日には追いついてくれるでしょう。私たちはチトラルに到着しました。明日はガラム・チャシュマをめざします。

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