ユニセフの援助計画と最近の動向
今回改訂されたアフガニスタン及び周辺国におけるユニセフの援助計画では、来年3月までの間、ユニセフは子どもと家族の生存を確保することを優先課題として人道援助を継続、拡大します。ユニセフの戦略では、生存の確保を重点とした緊急援助とともに、教育や給水システム、保健サービスの復旧など、中・長期的視点による復興援助にも着手します。11月には2ヶ月間周辺国に退避していた国際職員がアフガン内に帰還し、支援体制の強化が図られました。
タリバーン政権が実質上崩壊して以降、周辺国に避難していたアフガン難民の帰還が本格化しています。国連機関の調べでは、11月12日から12月5日までに2万4000人以上の難民がイランからアフガニスタンに戻り、今後その数はさらに増えると見られます。しかし、戦闘が続く南部カンダハル周辺では、パキスタン南部国境地域を目指して脱出する住民が依然多数にのぼり、気温が零下に達する厳しい寒さの中、シェルターや食糧、医療・保健サービスを必要としています。
ユニセフの今後の分野別支援計画
保健:ユニセフは避難民キャンプなどにある各保健施設に医薬品、緊急保健セットを提供し、紛争と干ばつの影響を受けた5歳未満の子ども100万人を含む住民500万人に対する保健サービスの提供を支援します。はしかの予防接種を生後9ヵ月から5歳までの全ての子ども約450万人に対して重点的に行うとともに、ポリオの予防接種及びビタミンAの補給を行います。
栄養:ユニセフは子どもの栄養状態の調査を行い、栄養不良の5歳未満の子ども10万人と妊産婦11万人を対象に、栄養補助食の提供などを通じた栄養プログラムを実施します。すでに子ども2万2000人分のユニミックス(緊急補助栄養食)を調達しています。引き続きビタミンA等の微量栄養素の供給も推進します。
水と衛生:ユニセフは国内避難民のためのキャンプや干ばつの被害の大きな地域を中心に、住民約350万人の安全な飲み水の供給を確保するために手押しポンプ付き井戸1万4000台以上を設置します。また、飲料水ケースや浄水錠剤の提供、トイレなどの衛生施設の設置も継続的に実施します。
教育:ユニセフは厳しい冬の間の子どもの初等教育を確保するため、農村部の地域小学校や都市部に多い家庭を拠点とした教室の運営を支援します。来春には100万人近くの児童と約3万人の教員が学校に戻ると予測され、ユニセフは教材・教具の提供、教員の訓練などを実施し、初等教育の機会の確保に努めます。
保護:ユニセフは戦争で心に傷を負った子どもの心理ケアを支援するため、子ども約3万人分のレクリエーションセット、手工芸キット、安全な環境を整備するためのテントを配布します。また、地雷や不発弾の回避教育や、少年兵の社会復帰プログラムも実施します。
分野別予算
ユニセフは2002年3月31日までの緊急・復興援助に1億886万ドル(約135億円)を必要としています。11月20日までに4700万ドルを確保しましたが、依然6200万ドルが不足しています。
分野 |
予算(単位:米ドル) |
生活支援 |
21,000,000 |
保健と栄養 |
32,700,000 |
水と衛生 |
19,000,000 |
教育 |
12,975,000 |
保護 |
4,200,000 |
プロジェクト運営費 |
18,985,000 |
合計 |
108,860,000 |
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