HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > アフリカ 2003/8/21
財団法人日本ユニセフ協会




UNICEF リベリア緊急支援情報

●概略
 西アフリカに位置するリベリアでは、1989年から14年間断続的に続いてきた内戦と政情不安定によって、最も弱い立場にある子どもたちにとって深刻な状態が続いています。武力勢力が長年子どもを兵士としてつかい強制的に残虐行為に携わらせたことで、多くの子どもたちが深刻な心の傷を負っています。子どもたちは、この紛争の一番の被害者です。

 2003年6月に武力紛争が再び激化し、首都モンロビアとその郊外に紛争を逃れる安全な場所を求めて、多くの一般市民が押し寄せました。この国内避難民は45万人とみられ、現在モンロビアに住む130万の人々のあいだで、マラリア、肺炎、コレラ、はしかなどの病気が爆発的に蔓延していくことが予想されています。また、食糧、水、薬、避難場所の不足は、深刻な状況になっています。街にあった食料は、略奪などによりほとんどなくなり、燃料も不足して価格が高騰しました。人々の顔からは絶望と疲労の表情が消えることがありません。

 武力紛争や、略奪行為、数万もの国内避難家族や極貧という問題によって、270万のリベリア人全体への支援が必要とされています。現在、人々の70%が人道支援を受けられない状態にあります。

 8月18日に調印された停戦合意が守られ、ユニセフなどの人道援助機関からの支援が子どもたちに届けられることが、早急に必要となっています。

リベリアの主要データ・状況
 人口: 270万人(首都モンロビアに130万人)
  *人口の約50%が15歳未満の子ども)
  *人口の85%は最貧困層(毎日1米ドル以下)
 5歳未満死亡率: 235名/出生1000人あたり(世界で5番目に高い/2001年)
 非識字率・失業率: 80% ・ 80%
 燃料が不足し、通信、交通、電力、給水など日常生活に深刻な影響がでている。

●子どもの保護
 リベリアにおける子どもの兵士の問題は、非常に深刻です。ここ数週間のうちにも、数万人の子どもたちが政府と反政府グループによって徴兵されています。9歳などの小さな子どもを含み、現在子ども兵士として働く子どもたちの多くは、拉致され、強制的に兵士として働かされています。また、兵士になれば、食料、水、避難場所や保護が補償されるといって、引き続き多くの子どもたちが誘惑されています。女の子もしばしば戦闘にかりだされます。
 400もの孤児院が破壊され、子どもたちは、適切なケアを受けれない状態にあります。街では、略奪、レイプ、暴力、強制的な徴兵、拉致、殺人といった問題が増加しています。そういった状況下、ギニアやシエラレオネなど隣国へも難民が流出しています。
 子どもたちは、親と離れ離れになり、徴兵され、残虐行為などを強いられています。一方で、学校が閉鎖され、保健センターの機能が停止するなど、子どもたちを保護する環境は失われています。家族が目の前で殺されたり、兄弟が強制的に武力勢力に徴兵されたり、家族全員で住む場所をなくすなど、子どもたちは心に深い傷を負っています。

●水
 マンバ・ポイントと東部で、水の供給が深刻に不足しています。現在では、雨水や汚れている井戸の水が主な供給源となっています。

●保健
 コレラが爆発的に蔓延し保健状況が悪化しています。また、食料の不足から子どもたちの間で栄養不良が増加しています。2003年6月と7月に行った緊急調査によると、かなり多くの子どもたちが慢性的な栄養不良と貧血にかかっていることがわかりました。
 備蓄していたワクチンや保健器材の大半は、電力の不足によって甚大な被害を受ました。首都モンロビアで機能している2つの病院には、手術を必要とする外科患者であふれ返っています。ほとんどの保健センターでは、手術は延期せざるをえない状態です。

ユニセフの緊急援助: US$16,021,392
 2003年末までのリベリアの子どもたちへの緊急支援として、ユニセフは約1600万米ドル(約19億2000万円)を必要としています。これまでにまだ130万米ドルしか支援が集まりません。リベリア全土での子どもたちへの活動を行うには、多くの支援が必要です。

◆これまでのユニセフの活動
 8月2、3日にユニセフは1万トン近くの栄養強化ビスケットを子どもたちに提供しました。これまでもユニセフは栄養強化ビスケット5200kgを提供しています。  7月に、はしかや破傷風の予防接種キャンペーンを行い、5歳未満の子ども12万8700人と、20万8686人の母乳育児中の女性たちが恩恵を受けました。
 水と衛生の分野でもNGOや国連機関と連携して活動しています。モンロビアの国内避難民2万人に安全な水を提供しました。井戸の復旧も進めており、多くの子どもたちのもとに安全な水が届くことを目指しています。
 必要最低限の薬、下痢による脱水症状を防ぐための経口補水塩、乳酸ナトリウムが12のコミュニティーの診療所に供給されました。

◆今後の支援
 ユニセフは、コートジボアールの首都アビジャンから、56.7トンの注射器、毛布などの食料以外の資材、避難用の資材(合計50万米ドル相当)を輸送する予定です。
 ユニセフの資材供給部門、コペンハーゲンの物資センターでは、航空機によって50万米ドル相当の緊急援助のくすりや栄養剤、水タンクやコンテナー、浄水剤やその他最低限に必要な物資を供給する準備をすすめています。