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干ばつに見舞われたアフリカの角地域で
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©UNICEF/HQ06-0176/Kamber |
ユニセフは、2006年5月15日、干ばつに苦しむアフリカの角地域に関する報告書を発表し、4月に大量の雨が降ったにも関らず、数万人の子どもたちが今もなお生命の危機に瀕していると発表しました。
スイスのジュネーブで行われた「ユニセフ子ども警報(子どもの危機的状況に関する報告書)−アフリカの角地域編」発表と共に、緊急支援アピールの不足分に対する支援を要請したユニセフ事務次長のリマ・サラは、降雨によって状況がわずかながら改善した地域があるものの、一部の地域ではさらに事態がさらに悪化していると述べました。ユニセフは、8,000万米ドルにのぼる当初の緊急支援要請のうち、未だに5,400万米ドルが不足しているとして支援協力を重ねて要請しました。
「今回の干ばつによって、同地域で放牧されている家畜のうち、半数が死にました。雨が降っても、その家畜たちは戻ってきません。家畜を失った遊牧民は、蒔く種をもたない農民と同じです。こうした人々は、食糧や安全な水、雨露をしのぐことができる家を求め、子どもたちを養うための手段を求めて苦闘しています」とリマ・サラは述べました。
©UNICEF/HQ06-0146/Kamber |
過去数年間、アフリカの角地域を襲う干ばつは年ごとに厳しさを増しています。2000年の干ばつでは、およそ10万人の人々が命を失いました。被災した人々の多くは、ケニア、ソマリア、エチオピアの国境地帯を移動する遊牧民で、その数は1,600万人にものぼります。そのうちの約半数は深刻な影響を受けており、支援を必要としていますが、その中には160万人の5歳未満児も含まれています。
今回出された「ユニセフ子ども警報」では、以下の点が挙げられています。
©UNICEF/HQ06-0254/Heavens |
「食糧不足は、この地域では繰り返し起きてきていることです」とユニセフ事務次長。「ですが、この恒常化している危機を遊牧民の人々が乗り越えられるようするには、社会サービスを提供している特定の場所まで彼らが足を運ぶべきだと主張するのではなく、(サービスを出前するなど)彼らの立場に立って柔軟に対処しなければなりません。世界の他の砂漠地帯で人々が生活し、家畜を育てることができているのなら、アフリカの角地域でもできるはずです。数千年間にわたってそうしてきているのですから」
ユニセフ、その他の国連機関をはじめとするパートナー機関は、すでに現地の人々の生活様式に合った形のプログラムを導入し始めています。乳幼児を対象とする移動型の栄養補給センターや、遊牧民の家族と共に移動する教員のトレーニングと資金協力はその一例です。現在のところ、ユニセフの緊急支援要請に対する支援協力は、要請額の3分の1にも達していません。
©UNICEF/HQ06-0207/Kamber |
ユニセフとパートナー団体から水が提供される |
ユニセフとそのパートナー団体は干ばつの被害を受けている地域で子どもと女性の命を救うための活動をしています。治療目的の、あるいは栄養補給を目的とした栄養プログラムが栄養不良の子どもと女性のために実施されています。移動保健チームは干ばつに関係する病気を治療したり、はしかの予防接種を行ったり、子どもの免疫を高めるためのビタミンAを提供したりしています。
水と衛生の分野では、学校や栄養センターに水をトラックで運んだり、井戸を掘ったり、下痢やコレラを予防するために広範囲な衛生促進キャンペーンを実施しています。又、ユニセフは学校用テントやスクール・イン・ア・ボックス(1つで80人の子どもが学べる教材セット)を被災した地域に送っています。
ユニセフは、遊牧民の生活に適した移動式の保健ユニットを支援したり、遊牧民とともに移動して教えることのできる教員を研修したりしています。