財団法人日本ユニセフ協会



エチオピア最新情報(10月14日)

【2008年10月14日 エチオピア発】

新たな進展

2008年10月14日火曜日、エチオピア政府は640万人の人々が緊急支援を必要とする状況であると公表しました。これにより、同年6月の政府見積もり(460万人)より、180万人増えたことが明らかになりました。

最新の数字は深刻な食糧と栄養の危機を裏付けた複数機関による評価結果を反映しています。現在の状況は立て続けの雨不足によるものですが、世界的な主要食糧と燃料価格の高騰のため事態はより悪化しています。

また、640万人には現在もエチオピア政府が支援を継続中のセーフティーネットプログラムの受益者である社会的に最も弱い立場のにある家族は含まれません。

緊急支援が必要になる子どもの数も増加する見通しで、政府は84,200人の子どもが年末まで毎月の栄養補助治療が必要になると見込んでいます。

ユニセフの不足資金額は現在2600万米ドルです。そのうちの1600万ドルは調理不要の栄養価の高い食糧を年末までに調達するため必要です。

栄養

ツゥラ保健センターでプランピー・ナッツ(Plumpy'nutR)を食べるネスサ・マソス君(1歳)。
ユニセフが支援する保健施設にて。1歳になるサンバタ シュボ君。彼は急性栄養失調を患っているため、週1回自宅でプランピー・ナッツの配給を受け取ります。プランピー・ナッツで治療した子どもは通常2,3週間で回復します。
© UNICEF

エチオピアは深刻な栄養失調問題に対して、世界的にも最大規模な対応を経験しています。現在までに135,000人以上の子どもたちが治療を受け、またその人数も増える見込みです。

最も厳しい状況に見舞われているのはソマリ、アファール、オロミア各州の低地ですが、不十分な食糧摂取、及び安全な水へのアクセスに起因する急性栄養失調は、南部諸民族州等の他地域からも報告されています。

南部諸民族州だけで、今年6月25日から10月2日までに37,000人の子ども達たちが栄養補助治療プログラムに参加し、オロミア州でも、6月23日から10月1日までの間に24,000人の子ども達が同様なプログラムに参加しました。

ユニセフは急性栄養失調治療サービスを地方でも実施できるようにするためにエチオピア政府と連携しています。4,000人以上のヘルスワーカーがユニセフの支援のもとで訓練を受け、その結果、国で対処出来る急性栄養失調の治療件数は25,000件から65,000件に増加しました。

ユニセフは、900箇所以上で実施されている国内の栄養補助治療プログラムで必要となる栄養価の高い食べ物、薬、備品などを供給しています。ソマリ州では、多数が女性と子どもである150,000人以上の栄養失調患者を診療する15の地方巡回ヘルスチームを2008年1月より支援しています。

栄養補助治療を実施するキャパシティーが増えた一方で、ユニセフはプランピー・ナッツや高たんぱくビスケットという調理不要の栄養価の高い食べ物を今後数ヶ月中で確保することに奮闘しています。その主な制約は世界的なレベルでの物資不足にあります。

保健

2008年に発生した急性の水様性下痢症の対処として、ユニセフはオロミア州に1キットあたり10人の患者の治療ができる水様性下痢症治療キットを12個、アムハラ地方には同じキットを21個、それぞれ送り、ヘルスワーカーのための関連する訓練も行いました。

このような病気の発生に備えての準備と予防のために、ユニセフは水処理薬品、貯水槽、水を運ぶための容器、石鹸、衛生の推進を目的とした教材など総額100万米ドルの緊急物資を供給しています。

さらなる病気の発生のリスクは雨季の到来や局地的な洪水に対する懸念とともに依然として残っています。

水と衛生

水不足が深刻な家畜の死を招いているソマリ州を含むいくつかの地域で、安全で清潔な水の欠如は食糧の安全保障や健康状態の問題を悪化させています。20台のトラックを使って厳しい干ばつに見舞われたコミュニティへ水を供給することもユニセフは支援しています。

またデゲハブール とオラヘ地区で機能していない掘削孔の修復と新たに5つの掘削孔を建設するためにソマリ州地域水資源局を経済的にも支援しています。

トラックによる水供給はディーゼル価格の高騰、及び供給不足のため困難に陥っています。ユニセフは対象の治療センターと栄養補助治療センターでの基礎衛生施設、手洗い場、給水ポイントの設置と拡大化を図っています。この取り組みのためには2008年末までにさらに450万米ドルが必要となります。