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アフリカ干ばつ緊急募金 第71報
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© UNICEF 2012/Niger/Tidey |
ニジェールのガリン・ゴウルビ村で、母親たちに適切な栄養を摂取することの重要性について説明するゾウヘイラ・イッサさん(左)。 |
このプログラムは、ニジェール南部の人口密集地帯、マラディとジンデルを含む最も厳しい状況に置かれた地域に住む人々に、新しい知識や習慣を取り入れてもらうことに重点が置かれています。この地域の村人たちの間の妊産婦や子どもの死亡率、栄養不良率は、全国で最も高い値を示しています。
ガリン・ゴウルビ村では、5人の女性がKFPプログラムを先導して行っています。彼女たちは、各家庭を訪問して、5歳未満児の死亡を削減させる7つのポイントについて教えて回っています。その7つのポイントとは、① 生後6ヵ月間の完全母乳育児 ②適切な離乳食 ③適切な手洗い ④下痢性疾患の治療 ⑤(必要な時に)医療ケアを受けること ⑥予防接種 ⑦マラリアを予防する蚊帳の使用です。
「数年前に、ユニセフの研修を受けました。他のお母さんたちにも教えたい知識をたくさん習いました」 完全母乳育児に関するグループセッションをリードしているゾウヘイラ・イッサさんは、こう話しました。「ですから、今、このプロジェクトに関わっているのです。私自身、6人子どもがいて、多少経験があります。訪問した家庭に深刻な問題があっても、それが何であるのか見当がつきますし、力になることもできるんです。」
© UNICEF 2012/Niger/Tidey |
ニジェールのマラディ近くの村で、主な家族が行っている習慣について、ユニセフが支援して行っているセッションで、息子と一緒に話しを聞くネフィサ・タシロウさん。 |
現在、ニジェールを襲っている危機的な状況の中、子どもたちの栄養不良率を削減するべく、その予防のための取り組みに力が注がれています。ユニセフは、NGOをはじめとするパートナー団体と共に、ニジェール全土にこのプログラムを拡大。現在、ニジェールの全7地域のうち6地域で実践されています。
「このプログラムを通じて、特に、今のような食糧危機の時にわたしたちの助けになる重要なことをたくさん学びました」 こう話すのは、タホウア村のネフィサ・タシロウさん(23歳)です。「息子は、完全母乳育児で育てています。こんなに丈夫で健康に育っているのがわかるでしょう?」
このプログラムの最終的な目標は、5歳未満児死亡率を30パーセント削減することです。ユニセフがコミュニティで活動する人々とともに継続的に実施している調査によると、KFPプログラムを実践している村では、子どもの保健、栄養、衛生の向上のための習慣が普及したことが明らかになりました。生後6ヵ月間の完全母乳育児を行う母親の割合は、2008年の9パーセントから2010年には27パーセントに増加したこともその一例です。
ユニセフは、今後2年間、KFPプログラムを継続するための資金として、約200万米ドルの支援を国際社会に求めています。
(こうした予防策に加え、)現在続いている栄養危機への対応として、ユニセフは重度の急性栄養不良の治療のための治療用給食センターの対応能力も強化しています。ユニセフは、国内の44の病院で、重度の急性栄養不良や合併症に苦しむ子どもたちの治療に必要な物資と器材の約85パーセントを提供しています。また、病気の流行を防ぐため、清潔な飲料水の提供と適切な衛生設備(トイレ)の設置も進め、支援の届き難い女性と子どもたちへの支援も実施しています。
国連は、ニジェールでの人道支援活動に関する共同アピールを発表。総額4億5,100万米ドルの支援を国際社会に要請しました。しかし、これまでに集まったのは、その32パーセントだけです。ユニセフは、パートナー団体と共に、ニジェールの子どもたちの代弁者として、国際社会にさらなる支援の強化を求めています。